土地区画整理事業施行区域内の特定の数筆の土地につき所有権その他の権利を有する者全員が他の土地の換地に影響を及ぼさない限度内において右数筆の土地に対する換地の位置範囲に関する合意をし、右合意による換地を求める旨を申し出たときは、事業施行者は、公益に反せず事業施行上支障を生じないかぎり、土地区画整理法八九条一項所定の基準によることなく右合意されたところに従つて右各土地の換地を定めることができる。
土地区画整理法八九条一項所定の基準によらないで換地を定めることができる場合
土地区画整理法89条1項
判旨
土地区画整理事業において、権利者全員が他の換地に影響を及ぼさない限度で換地の位置・範囲に合意し申し出た場合、公益や事業施行に支障がない限り、法89条1項の照応の原則によらず当該合意に従って換地を定めることができる。
問題の所在(論点)
土地区画整理事業における換地処分の際、土地区画整理法89条1項(照応の原則)の基準によらず、関係権利者間の合意に基づいて換地を定めることが許されるか。
規範
土地区画整理法89条1項は、換地計画において換地を定める基準(照応の原則)を定めているが、同条項は絶対的なものではない。施行区域内の特定の数筆の土地につき、権利者全員が他の土地の換地に影響を及ぼさない限度で換地の位置・範囲に関する合意をし、その旨を申し出たときは、①公益に反せず、かつ②事業施行上支障を生じない限り、同条1項所定の基準(照応の原則)によらずに、当該合意に従って換地を定めることができる。
重要事実
土地区画整理事業の施行区域内において、特定の数筆の土地について所有権等の権利を有する者全員が、他の土地の換地に影響を及ぼさない範囲で、換地の位置および範囲に関する合意を成立させた。権利者らは、この合意に基づいた換地を求める旨を事業施行者に申し出た。これに対し、事業施行者は法89条1項の基準ではなく、当該合意の内容に従って仮換地指定の変更処分および換地処分を行った。
あてはめ
本件では、特定の土地に関する権利者全員が合意に達しており、その内容は他の土地の換地に影響を及ぼさない限度のものであった。このような合意に基づく換地の指定は、私的自治の観点から尊重されるべきであり、かつ公益に反したり事業施行に支障をきたしたりする事情も認められない。したがって、法89条1項が定める一般的な照応基準に従わなかったとしても、直ちに違法とはならず、権利者の意思を反映した処分として適法性が認められる。
結論
土地区画整理法89条1項の基準によらずに権利者の合意に従ってなされた本件各処分は、適法かつ有効である。
実務上の射程
換地処分の違法性を争う事案において、照応の原則(法89条1項)違反の主張に対し、権利者間の合意や承諾がある場合にその適法性を基礎付ける理論として活用できる。ただし、合意に参加していない第三者の権利を侵害しないこと、および事業の公共性を損なわないことが要件となる点に注意を要する。
事件番号: 昭和63(行ツ)60 / 裁判年月日: 昭和63年11月17日 / 結論: 棄却
土地改良法五三条一項二号の照応関係は、従前の土地に所有権及び地役権以外の権利又は処分の制限がある場合でない限り、同一所有者に対する従前の土地全体とこれに対する換地全体とを総合的にみてその間に認められれば足りる。
事件番号: 昭和49(オ)868 / 裁判年月日: 昭和51年8月30日 / 結論: 棄却
山林「a」の仮換地「A」について右仮換地自体に着目して売買契約が締結されたのち、仮換地の指定の変更により、山林「a」の一部である山林「a’」につき仮換地「A」と同一性のある仮換地「A’」が、山林「a」の残部である山林「b」につき仮換地「B」が、各指定され、次いで右仮換地がそのまま換地「A”」、換地「B’」と定められた場…
事件番号: 昭和43(オ)381 / 裁判年月日: 昭和43年9月24日 / 結論: 棄却
仮換地の特定の一部分につき売買契約を締結したが、その部分が従前の土地のどの部分に対応するかについて合意がなく、かつ、これを確定することができないときは、仮換地全体の面積に対する当該部分の面積の比率に応じた従前の土地の共有持分につき売買契約が締結され、その持分について処分の効果が生ずるとともに、従前の土地についての持分に…