仮換地の特定の一部分につき売買契約を締結したが、その部分が従前の土地のどの部分に対応するかについて合意がなく、かつ、これを確定することができないときは、仮換地全体の面積に対する当該部分の面積の比率に応じた従前の土地の共有持分につき売買契約が締結され、その持分について処分の効果が生ずるとともに、従前の土地についての持分に基づいて仮換地の当該特定部分を使用収益する権能を認める合意があつたものと解すべきである。
仮換地の特定の一部分につき売買契約を締結した場合の右契約の解釈
特別都市計画法(昭和21年法律第19号)14条,土地区画整理法99条,民法555条
判旨
仮換地の特定部分を売買したが、その部分が従前の土地のどの部分に対応するか不明な場合、仮換地面積に対する当該部分の面積比率に応じた従前地の共有持分の売買及び使用収益権能の合意があったと解すべきである。
問題の所在(論点)
仮換地の特定部分を売買したものの、それが従前地のどの範囲に対応するか不明である場合に、どのような権利移転および使用収益権能が認められるか。
規範
仮換地の特定部分を売買の目的としたが、当該部分が従前の土地(複数筆を含む)のいずれの土地のどの部分に該当するか確定できない場合、特段の事情がない限り、①仮換地全体の面積に対する当該特定部分の面積の比率に応じた、従前の土地の共有持分についての売買契約が締結されたものと解し、②その持分に基づき仮換地の当該特定部分を使用収益する権能を認める合意があったものと解するのが相当である。
重要事実
被上告会社と上告人との間で、本件仮換地のうち特定の部分((イ)および(ロ)部分)の売買契約が成立した。しかし、当該特定部分が、従前の土地(二筆)のうち、具体的にどの土地のどの部分に対応するかについて当事者間に合意がなく、客観的にも確定することができなかった。このため、当該売買契約に基づく権利移転の範囲と、仮換地の使用収益権の成否が争われた。
事件番号: 昭和43(オ)795 / 裁判年月日: 昭和46年11月26日 / 結論: 棄却
特別都市計画法一三条所定の換地予定地の指定通知が従前の土地の所有者に対してなされたのちにおいては、当該換地予定地を占有するのでなければ、従前の土地を占有したからといつて、その従前の土地の所有権地上権または賃借権を時効によつて取得することはできない。
あてはめ
本件では、仮換地の特定部分の売買について合意がある一方で、従前地との対応関係が不明である。この場合、売買の対象は「仮換地の特定部分の利用価値」に主眼がある。したがって、面積比率に応じた従前地の共有持分(持分権)の移転を認めることで、対抗要件(登記)の具備を可能にしつつ、従前地の持分権に基づいて仮換地の当該特定部分を排他的に使用収益することを認めるのが、当事者の合理的な意思に合致するといえる。
結論
仮換地の面積比率に応じた従前地の共有持分につき売買契約の効果が生じ、かつ、当該特定部分を使用収益する権能を認める合意があったものと解される。
実務上の射程
土地区画整理事業施行中の仮換地の売買において、従前地との対応関係が不明確な場合の解釈指針となる。答案上は、物権変動の対象を「共有持分」として構成し、使用収益権については債権的合意ないし持分の権能として論じる際に活用できる。また、釈明権の行使については、当事者の主張に矛盾や不明点がない限り義務ではないとする点も実務上重要である。
事件番号: 昭和53(オ)204 / 裁判年月日: 昭和56年6月4日 / 結論: その他
一 一区画の仮換地の一部を所有の意思をもつて所要の期間継続して占有した者は、従前の土地につき右占有部分に対応する部分が特定されていないときは、時効により従前の土地に対する共有持分権を取得するとともに、当該占有部分につき、共有持分権者の一人が現に排他的な使用収益権能を取得している場合と同様の使用収益権能を取得する。 二 …
事件番号: 昭和37(オ)1157 / 裁判年月日: 昭和39年4月17日 / 結論: 棄却
債権者は、債務者に代位してその債務者に属する代位権を行使することができる。
事件番号: 昭和43(オ)356 / 裁判年月日: 昭和43年9月20日 / 結論: 棄却
一、土地の売買契約締結に際して、目的土地の一部を第三者が占有している場合に、売主が、右第三者の占有は権原に基づかないもので少なくとも一年位のうち明渡を受けて買主に目的土地を明け渡す旨言明したため、買主においてこれを信用し、右第三者使用部分の明渡が完了すると同時に残代金を支払うことを約したときには、右残代金の支払時期につ…