土地改良法五三条一項二号の照応関係は、従前の土地に所有権及び地役権以外の権利又は処分の制限がある場合でない限り、同一所有者に対する従前の土地全体とこれに対する換地全体とを総合的にみてその間に認められれば足りる。
土地改良事業による換地処分につき、従前の土地全体とこれに対する換地全体とを総合的にみてその間に照応関係が認められれば足りるとした事例
土地改良法53条1項2号
判旨
土地改良法53条1項2号が定める換地の照応原則は、従前の土地に特殊な権利制限がない限り、同一所有者に係る従前の土地全体と換地全体を総合的に比較して判断すれば足りる。
問題の所在(論点)
土地改良法53条1項2号にいう「従前の土地と換地との照応」の判断基準について、個別の筆ごとに判断すべきか、あるいは同一所有者の土地全体を合算して総合的に判断すべきか。
規範
土地改良法53条1項2号の規定する「照応」の有無は、土地改良事業の目的に照らし、従前の土地に所有権及び地役権以外の権利又は処分の制限がある場合でない限り、個別の筆ごとの比較ではなく、同一所有者に対する従前の土地全体と換地全体とを総合的に比較して、その間に照応関係が認められるか否かによって判断すべきである。
重要事実
被上告人(土地改良区等)は、上告人に対し、複数の「従前の土地」に対応する「換地」を指定する本件換地処分を行った。上告人は、個々の土地ごとに照応関係を判断すべきであると主張して処分の違法性を争った。原審は、所有者が異なる場合には分類を要するが、同一所有者の土地については全体を総合的に比較して照応関係を肯定したため、上告人が上告した事案である。
あてはめ
本件において、従前の土地に所有権及び地役権以外の特殊な権利や処分の制限が存在した事実は認められない。また、原審は所有者が異なる土地については適切に分類して判断を行っている。したがって、同一所有者に属する複数の従前の土地と、それに対応して指定された複数の換地との関係については、個々の筆単位で対照させるのではなく、それら全体を一体として総合的に観察し、全体としての価値や利用状況が照応しているかを判断すべきである。このような判断手法は土地改良事業の目的に適合しており、正当である。
結論
同一所有者の土地全体を総合的にみて照応関係が認められれば、土地改良法53条1項2号に違反せず、本件換地処分は適法である。
実務上の射程
換地処分の違法性を争う取消訴訟において、照応原則(換地設計の妥当性)の主張に対する防御として「同一所有者の全体観察」を基礎づける際に用いる。筆ごとの不利益を強調する原告に対し、被告(行政・施行者)側が主張すべき規範である。
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