山林「a」の仮換地「A」について右仮換地自体に着目して売買契約が締結されたのち、仮換地の指定の変更により、山林「a」の一部である山林「a’」につき仮換地「A」と同一性のある仮換地「A’」が、山林「a」の残部である山林「b」につき仮換地「B」が、各指定され、次いで右仮換地がそのまま換地「A”」、換地「B’」と定められた場合には、買主は換地「A”」の所有権を取得するにすぎず、換地「B’」の所有権を取得するものではない。
仮換地につき売買契約が締結されたのち仮換地の指定の変更により右仮換地が従前地の一部についての仮換地となり右仮換地がそのまま換地となつた場合と買主の取得する土地
民法555条,土地区画整理法99条,土地区画整理法104条
判旨
土地区画整理事業中の仮換地の売買において、売買が仮換地自体の客観的性質に着目してなされた場合、その後の指定変更により従前地が分割され複数の換地が交付されても、買主が取得するのは売買対象と同一性のある換地の所有権に限定される。
問題の所在(論点)
仮換地の売買後に、指定変更によって従前地が分割され、元々の仮換地と同一性のある換地のほかに別の換地が発生した場合、買主はこれら全ての換地の所有権を取得できるか。
規範
仮換地の売買が、仮換地自体の位置、地目、面積に着目してなされ、代金もその面積を基準に定められた場合、売買の効力は当該仮換地と同一性を有する範囲に限定される。その後、仮換地の指定変更や従前地の分割を経て複数の換地が指定されたとしても、買主が取得する所有権は、当初の売買対象と同一性のある換地に限り、それ以外の換地には及ばない。
重要事実
被上告人は山林(「a」地)を所有していたが、土地区画整理事業により仮換地「A」の指定を受けた。被上告人は「A」を代金173万余円(坪単価による算出)でDに売却し、Dはこれを上告人に転売した。その後、名古屋市長は「a」地についての仮換地指定を変更し、「a」地を「a'」と「b」に分割。それぞれに仮換地「A'」(「A」と同一性あり)と「B」を指定した。最終的な換地処分により、「a'」には換地「A''」、「b」には換地「B'」が指定され、上告人は両方の換地について所有権移転登記を経由した。
事件番号: 昭和28(オ)847 / 裁判年月日: 昭和30年6月24日 / 結論: 棄却
一 一筆の土地全部の所有権移転登記手続を求める請求において、その土地の一部につき「分筆の上」所有権移転登記手続をなすべき旨の判決をしても、「申立テザル事項ニ付判決ヲ為シ」たことにはならない。 二 一筆の土地の一部といえども、売買の目的とすることをうべく、その部分が具体的に特定しているかぎりは、右部分につき分筆手続未了前…
あてはめ
本件売買は、仮換地「A」自体の位置や面積に着目し、その坪単価によって代金が決定されている。この事実は、当事者が「A」という特定の土地を対象として取引したことを示す。したがって、指定変更により従前地「a」が分割され、「A」と同一性のある換地「A''」の他に新たな換地「B'」が生じた場合、売買の対象は「A''」にのみ引き継がれる。取引の経緯に照らせば、買主が「B'」の所有権まで取得すると解することは、売買当事者の合理的な意思に反し、土地区画整理事業の趣旨にも合致しない。
結論
上告人は、当初の売買対象と同一性のある換地「A''」の所有権のみを取得し、別個の換地「B'」の所有権を取得するものではない。
実務上の射程
契約解釈における当事者の合理的意思表示の確定が主眼である。土地区画整理法上の換地処分の効果(従前地に対する権利の承継)よりも、売買契約の目的物が「従前地の持分」なのか「特定の仮換地」なのかという認定が優先される場面で機能する。
事件番号: 昭和41(オ)158 / 裁判年月日: 昭和41年9月29日 / 結論: 破棄差戻
契約書に特定不動産をもつて代物弁済をなす旨の記載がなされている場合でも、右不動産の売却代金から原判示の貸金債権を精算のうえ残額を債務者に返還する旨の約定が債権者債務者間になされている等原審認定(原判決理由参照)の事情のもとにおいては、前記代物弁済なる記載に依拠して前記契約が代物弁済契約であると認定することは違法である。
事件番号: 昭和39(行ツ)24 / 裁判年月日: 昭和44年1月28日 / 結論: 棄却
一、土地改良法(昭和三九年法律第九四号による改正前のもの)五一条による一時利用地の指定は、その指定地につき存続期間の法定された一時的な使用収益を許容するものにすぎず、これを将来そのまま換地とするために行なう処分ではない。 二、土地改良区の土地改良事業の施行にあたり、一時利用地の指定を受けながらこれに対応する換地を交付さ…
事件番号: 昭和31(オ)818 / 裁判年月日: 昭和33年3月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】表見代理の成否を判断するにあたり、相手方が代理権があると信じたことに正当な理由があるかは、過去の交渉経緯や取引条件の合理性を総合して判断されるべきである。本件では、本人が過去に高値での売却を主張して拒絶した経緯や、代理人が提示した価格が本人の希望を大きく下回る点等に照らし、過失が認められ表見代理は…
事件番号: 昭和29(オ)740 / 裁判年月日: 昭和31年5月18日 / 結論: 棄却
農地の売買契約において、臨時農地価格統制令(昭和一六年勅令第一〇九号)第三条第一項所定の最高価格を超過した代金額の約定があつたというだけでは、超過した代金額の約定部分が無効となるに止まり、統制価格の範囲内では契約は有効たるを失わない。