先順位受附の登記申請人が、後順位受附の登記申請に基づき不動産登記法四八条に違反してされた登記につき、同条違反だけを理由にその抹消登記手続を求めることは許されない。
不動産登記法四八条に違反してされた登記の効力
不動産登記法48条
判旨
不動産登記法上の登記順位に関する規定(旧不動産登記法48条等)に違反してなされた登記であっても、直ちに無効となるわけではなく、当該規定に違反したという事実のみを理由に抹消登記手続を求めることはできない。
問題の所在(論点)
登記官が登記の受付順序に関する事務規定に違反して実行した登記について、手続上の瑕疵のみを理由に抹消登記手続(または承諾)を請求できるか。
規範
不動産登記法における登記の順序に関する規定(本事案における旧法48条)は、登記官の登記事務取扱に関する職務規定にすぎない。したがって、同条に違反してなされた登記であっても、その手続上の瑕疵のみをもって当該登記の抹消を求めることはできない。
重要事実
本件建物の登記に関し、上告人が表示登記及び保存登記を申請した。登記官は、受附番号において上告人の申請より後順位であった裁判所の仮差押登記嘱託(被上告人が債権者)に基づき、職権により他人の名義(D名義)での保存登記及び仮差押登記を先行して実行した。その結果、上告人の登記申請は二重登記を理由に却下された。上告人は、登記順位の規定に違反したことを理由に、仮差押債権者である被上告人に対し抹消登記の承諾を求めた。
事件番号: 昭和42(オ)1472 / 裁判年月日: 昭和44年2月13日 / 結論: 破棄差戻
一個の債権担保のため、甲乙丙不動産につき停止条件付代物弁済契約がされるとともに、所有権移転請求権保全の仮登記がされている場合において、債権者が甲不動産を代物弁済により所有権を取得し、それに基づいて所有権移転登記を経由したにすぎないときは、その後乙不動産につき所有権移転請求権保全の請求権を譲り受けた者がした代物弁済による…
あてはめ
旧不動産登記法48条は登記官の事務処理の適正を確保するための職務規定であり、私人の権利関係を直接左右する効力を有するものではない。本件では、登記官が上告人の申請よりも後順位の嘱託を優先して登記を実行したという手続違反が存在するものの、それは職務規定への抵触にとどまる。ゆえに、上告人が主張する「規定違反がある」という事実だけでは、実体法上の権利関係を問うことなく登記の抹消を基礎づける理由にはなり得ない。上告人の請求は、単なる手続違反を権利行使の根拠とするものであり、失当であるといえる。
結論
上告人は、登記官の手続違反のみを理由として、被上告人に対し抹消登記の承諾を求めることはできない。請求棄却。
実務上の射程
登記手続における順序違反という形式的な瑕疵が、登記の有効性に直ちに影響しないことを示した。答案上では、不動産登記の効力を論ずる際、手続的瑕疵と実体関係の不一致を峻別する論拠として活用できる。特に、登記官の過失や事務ミスによる順序逆転があったとしても、それだけで登記が無効(抹消対象)になるわけではないという実務上の原則を確認する際に引用すべき判例である。
事件番号: 昭和39(オ)1419 / 裁判年月日: 昭和42年3月28日 / 結論: その他
(省略)
事件番号: 昭和38(オ)710 / 裁判年月日: 昭和41年2月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不動産譲渡の合意の成立が認められない以上、その合意に至る経緯としての周辺事実(賃借権の存在等)について個別に判断を示さなくとも、理由不備や判断遺脱の違法は存しない。 第1 事案の概要:上告人(原告)は、訴外Fとの間で、Fが国から本件土地の払下げを受けることを停止条件として、本件土地を上告人に譲渡す…
事件番号: 昭和28(オ)111 / 裁判年月日: 昭和31年7月27日 / 結論: 破棄差戻
不動産の譲渡人から与えられた代理権に基き、譲渡人の死亡後同人の代理人名義の申請によつてなされた移転登記は、それが現在の真実な権利状態に符合するものである限り、対抗力を有し、譲渡人の相続人は譲受人に対し、その抹消を請求することはできない。
事件番号: 昭和40(オ)1000 / 裁判年月日: 昭和41年5月17日 / 結論: 棄却
一審判決の送達をうけた弁護士事務所の事務員がてんかんの発作を起し、入院したため、訴訟代理人たる弁護士が一審判決正本を見たのが控訴期間経過後であつても控訴申立の追完は許されない。