自作農創設特別措置法三〇条一項により買収する未墾地は開墾適地であることを要し、明らかに開墾不適地である未墾地を対象としてなされた買収処分には重大かつ明白な瑕疵がある。
自作農創設特別措置法三〇条一項により明らかに開墾不適地につきなされた買収処分の効力
自作農創設特別措置法30条1項
判旨
自作農創設特別措置法に基づく未墾地買収処分において、対象土地が「開墾適地」ではないことが明らかな場合、当該処分には重大かつ明白な瑕疵があり当然無効となる。
問題の所在(論点)
未墾地買収処分の対象が「開墾不適地」であった場合、その瑕疵は行政処分を当然無効ならしめる「重大かつ明白な瑕疵」に該当するか。
規範
行政処分が当然無効とされるためには、その瑕疵が重大かつ明白であることを要する。未墾地買収処分の対象となる土地は、単に物理的な開墾が可能であるだけでは足りず、農業経営上開発に適する「開墾適地」であることを要し、これに反する処分は重大な瑕疵を帯びる。
重要事実
政府が自作農創設特別措置法30条1項に基づき、本件土地を未墾地として買収する処分を行った。しかし、本件土地は客観的に見て明らかに開墾に適さない土地(開墾不適地)であったことが、原審の証拠等により認定された。
事件番号: 昭和43(行ツ)82 / 裁判年月日: 昭和46年11月16日 / 結論: 破棄差戻
自作農創設特別措置法三条に基づく買収処分が行なわれた当時の買収農地の状況およびその後における右農地付近の発展の状況が判示のようなものである場合には、同法五条五号にいう近く土地使用の目的を変更することを相当とする農地であつたといえないことはないにしても、買収除外の指定をしなかつたことにつき重大かつ明白なかしがあつたとまで…
あてはめ
まず、買収対象は農業経営上適した土地であるべきところ、本件土地は明らかに「開墾不適地」であった。このような実体的要件の欠如は処分の根拠を根底から崩すものであり、瑕疵は「重大」といえる。また、客観的に明らかな不適地を買収した事実は、外見上も瑕疵が「明白」であると判断される。したがって、本件処分は重大かつ明白な瑕疵を伴うものと評価される。
結論
本件買収処分には重大かつ明白な瑕疵があるため、当然無効である。
実務上の射程
行政処分の無効事由(重大明白説)の具体例として、公定力の例外を論じる際に用いる。特に、処分の前提となる実体的要件(開墾適地性)が客観的に欠如している場合、取消事由に留まらず無効となり得ることを示す射程を持つ。
事件番号: 昭和36(オ)1253 / 裁判年月日: 昭和38年3月1日 / 結論: 棄却
右誤認が原審認定の事情のもとで明白な瑕疵とはいえない以上、買収処分は違法であつても、無効ではない。
事件番号: 昭和26(オ)251 / 裁判年月日: 昭和32年4月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】既墾地を未墾地と誤認して行った農地買収計画等の行政処分は、その瑕疵が重大かつ明白である場合には当然無効となる。 第1 事案の概要:本件土地は、昭和22年6月の農地買収計画樹立時において、既に開墾が完了していた。具体的には、一方の土地には陸稲が植え付けられ、他方の土地には馬鈴薯や大豆等が蒔き付けられ…
事件番号: 昭和32(オ)883 / 裁判年月日: 昭和33年10月3日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政処分が当然無効とされるためには、その瑕疵が重大かつ明白であることを要する。事実に反する無理な認定により法律上の要件を欠くことが明白な状況下で強行された農地買収処分は、重大かつ明白な瑕疵があり当然無効である。 第1 事案の概要:被上告人はa村に居住し、そこを生活の本拠としていることは村民周知の明…