一 預託金会員制ゴルフクラブの会員の会員資格喪失につき当該クラブの会則中に、会員が死亡したときはその資格を失う旨の定めがあるときは、右クラブの会員たる地位は一身専属的なものであつて、相続の対象となりえない。 二 前項の場合において、会員が原告となつて追行していた右クラブからの除名の無効を前提とする会員たるの地位確認及びゴルフコースの使用を請求する訴訟の係属中に、原告が死亡したときは、該訴訟は終了する。
一 ゴルフクラブの会員の地位の相続が否定された事例 二 ゴルフクラブの会員の死亡と同人を原告とする会員たる地位確認等請求訴訟の帰すう
民法896条,民訴法208条
判旨
ゴルフ会員権の規約に会員死亡による資格喪失の定めがある場合、その会員たる地位は一身専属的なものであり、相続の対象とならないため、会員の死亡により訴訟は終了する。
問題の所在(論点)
会員の死亡を資格喪失事由とする規約がある場合において、会員たる地位の確認を求める訴訟は、会員の死亡によって相続人に承継されるか。訴訟終了宣言の可否が問題となる。
規範
団体の構成員たる地位が相続の対象となるか否かは、当該団体の規則等の定めに照らし、その地位が一身専属性を有するものであるかによって判断される。規約において会員の死亡を資格喪失事由と定めている場合、その地位は相続人に承継されない一身専属的なものと解するのが相当である。
重要事実
上告人は、ゴルフ場の正会員であったが、除名処分の無効を主張して正会員であることの確認およびゴルフ場の使用を求める訴えを提起した。しかし、訴訟が最高裁に係属中、上告人が死亡した。当該ゴルフ場の運営規則には「会員が死亡したときはその資格を失う」旨の規定が存在していた。
あてはめ
本件ゴルフ場の運営規則15条には、会員が死亡したときはその資格を失う旨の規定がある。この規定によれば、会員たる地位は上告人の死亡と同時に消滅し、相続の対象とはなり得ない一身専属的なものであるといえる。したがって、正会員であることを前提とした本件訴訟について、上告人の相続人は訴訟を承継する適格を有しない。
結論
本件訴訟は、上告人の死亡によって相続人に承継されることなく、当然に終了する。これを明確にするため、裁判所は訴訟終了宣言をすべきである。
実務上の射程
本判決は、規約に死亡による資格喪失条項があるゴルフ会員権等の地位確認訴訟における「訴訟承継」の限界を示すものである。答案上では、権利の性質(一身専属性)を検討し、相続人が民事訴訟法124条1項1号の「相続人」として受継可能か、または訴訟自体が目的を達し得ず終了するかを判断する際の根拠として用いる。
事件番号: 平成3(オ)771 / 裁判年月日: 平成7年9月5日 / 結論: 破棄差戻
預託金会員制ゴルフクラブの施設利用権の消滅時効は、会員が施設の利用をしない状態が継続したことのみによっては進行せず、ゴルフ場経営会社が、会員に対してその資格を否定して施設の利用を拒絶し、あるいは会員の利用を不可能な状態としたような時から進行し、右利用権が時効により消滅したときは、ゴルフ会員権は、包括的権利としては存続し…
事件番号: 平成17(オ)1451 / 裁判年月日: 平成18年9月4日 / 結論: その他
上告審は,判決で訴訟の終了を宣言する前提として原判決を破棄する場合には,必ずしも口頭弁論を経ることを要しない。