預託金会員制ゴルフクラブにおいて、会則等に会員としての地位の相続に関する定めがなくても、右地位の譲渡に関する定めがあるなど判示の事実関係の下においては、会員の死亡によりその相続人は右地位の譲渡に準ずる手続を踏んでこれを取得することができる。
預託金会員制ゴルフクラブの会則等に会員としての地位の相続に関する定めがない場合に会員の死亡によりその相続人がこれを取得することができるとされた事例
民法第3編第2章契約,民法896条
判旨
預託金会員制ゴルフクラブの会則に相続の規定がない場合でも、会員の地位の譲渡が認められているならば、相続人は理事会の承認を停止条件として正会員の地位を承継する。
問題の所在(論点)
預託金会員制ゴルフクラブの正会員の地位は、会則に相続の定めがない場合、その権利義務の性質上、一身専属性(民法896条但書)を有し、会員の死亡により消滅するか。あるいは、譲渡性が認められる場合には相続の対象となるか。
規範
預託金会員制ゴルフクラブの正会員としての地位が、会則等により理事会の承認を得て他人に譲渡し得ると定められている場合、会員の固定性は放棄されている。このとき、死亡による地位の承継についても譲渡に関する規定を準用し、理事会の承認を要件として、相続人による地位の取得を認めるのが会則等の合理的な解釈である。
重要事実
上告会社が経営するゴルフクラブの正会員Dが死亡し、その子である被上告人が遺産分割により会員の地位を承継した。会則には相続に関する規定はなかったが、会員券業者からの買入れ等、理事会の承認があれば第三者への譲渡が可能である旨の規定は存在した。被上告人は上告会社に対し、理事会の承認を停止条件とする正会員の地位確認を求めた。
事件番号: 平成6(オ)1361 / 裁判年月日: 平成7年1月20日 / 結論: 破棄自判
ゴルフクラブの預託金制の平日会員としての入会契約の関係書類に会員権の譲渡を禁止する旨が直接明記されていなくても、会員募集要項において、正会員の株式の譲渡が自由であることを述べながら平日会員権の譲渡の可否に触れておらず、平日会員権と独立して他に譲渡することのできない家族会員権とを全く同列に扱い、規約の施行細則において正会…
あてはめ
本件会則では細則により理事会の承認を得た譲渡が可能とされており、会員の固定性は既に放棄されている。また、ゴルフ会員権は市場で広く取引される性質を有し、死亡によりその利用権が当然に消滅することは当事者の合理的な意思に反する。親睦的団体としての品位保持という目的は、相続による承継についても理事会の承認を要すると解することで十分に達成可能である。したがって、譲渡の場合と同様の手続を経ることを条件として、相続の対象となると解すべきである。
結論
被上告人は、上告会社の理事会の承認を停止条件として、本件ゴルフクラブの正会員としての地位を有する。
実務上の射程
預託金会員制ゴルフ会員権の相続性に関するリーディングケースである。一身専属性が否定される根拠として「譲渡性の有無(会員の固定性の放棄)」を重視しているため、答案作成上は会則における譲渡規定の有無をまず確認し、そこから相続性を導く論理構成として用いる。
事件番号: 昭和50(オ)270 / 裁判年月日: 昭和53年6月16日 / 結論: その他
一 預託金会員制ゴルフクラブの会員の会員資格喪失につき当該クラブの会則中に、会員が死亡したときはその資格を失う旨の定めがあるときは、右クラブの会員たる地位は一身専属的なものであつて、相続の対象となりえない。 二 前項の場合において、会員が原告となつて追行していた右クラブからの除名の無効を前提とする会員たるの地位確認及び…
事件番号: 平成5(オ)1169 / 裁判年月日: 平成9年5月27日 / 結論: 棄却
預託金会員制ゴルフクラブの規則に、会員が死亡したときは、相続人は、六箇月以内に、預託金の返還、相続人のうち一名への名義書換え又は第三者への会員資格の譲渡のいずれかの手続を選択して理事長に届け出なければならず、相続人が右期間内に所定の届出をしないときは預託金の返還手続がとられる旨の定めがある場合に、右クラブの会員権は、他…
事件番号: 平成11(受)461 / 裁判年月日: 平成12年10月20日 / 結論: 破棄自判
権利能力のない社団であるゴルフクラブが規約に従い総会の決議によってした構成員の資格要件であるゴルフ場経営会社の株式保有数を「二株以上」から「三株以上」に変更する旨の規約の改正は、特段の事情がない限り、右決議について承諾をしていない構成員に対しても、その効力を有する