権利能力のない社団であるゴルフクラブが規約に従い総会の決議によってした構成員の資格要件であるゴルフ場経営会社の株式保有数を「二株以上」から「三株以上」に変更する旨の規約の改正は、特段の事情がない限り、右決議について承諾をしていない構成員に対しても、その効力を有する
権利能力のない社団であるゴルフクラブが規約に従い総会の決議によってした構成員の資格要件を変更する旨の規約の改正と右決議について承諾をしていない構成員に対する効力の有無
民法33条,民法第3編第2章契約
判旨
権利能力のない社団であるゴルフ倶楽部において、規約所定の改正手続に基づき総会の多数決で決議された会員資格要件の変更は、特段の事情がない限り、個別の承諾のない構成員に対しても有効に適用される。
問題の所在(論点)
権利能力のない社団が規約所定の多数決により会員資格要件(社団の構成員たる地位)を一方的に変更した場合、その効力は個別の承諾を与えていない既存の構成員に対しても及ぶか。
規範
権利能力のない社団における規約の改正は、当該規約に定められた改正手続に従い、総会での多数決により行われたものである限り、原則として、反対する構成員や承諾をしていない構成員を含む全構成員に対してその効力を生ずる。ただし、当該改正が構成員の基本的権利を本質的に害するなどの「特段の事情」がある場合には、その適用が制限される余地がある。
重要事実
権利能力のない社団である上告人ゴルフ倶楽部は、規約により正会員の資格要件を「会社株式2株以上保有」と定めていた。その後、施設改善の資金調達のため、規約改正手続(理事会発議及び総会出席会員の過半数承認)を経て、資格要件を「3株以上保有」へ引き上げ、これを満たさない者は会員地位を失う旨を決議した。2株のみを保有していた被上告人は、この改正決議に承諾していなかったが、上告人らは被上告人の会員権喪失を主張した。
事件番号: 平成8(オ)255 / 裁判年月日: 平成9年7月1日 / 結論: 破棄自判
一 事情変更の原則を適用するためには、契約締結後の事情の変更が、契約締結時の当事者にとって予見することができず、かつ、右当事者の責めに帰することのできない事由によって生じたものであることが必要である。 二 自然の地形を変更してゴルフ場を造成したゴルフ場経営会社は、ゴルフクラブ入会契約締結後にゴルフ場ののり面が崩壊したと…
あてはめ
本件ゴルフ倶楽部は、議決機関、団体継続性、代表方法、財産管理等が確定しており、権利能力のない社団としての実体を備えている。本件規約改正は、規約に定められた適法な手続(理事会発議・総会多数決)を経て行われた。構成員の資格要件変更は団体運営上の必要性に基づく合理的な範囲内の変更といえ、構成員の地位を直ちに不当に剥奪するような「特段の事情」も認められない。したがって、本件改正規定は被上告人にも適用されると解される。
結論
本件改正規定の施行時点で新要件を満たしていなかった被上告人は、個別の承諾がなくても、当然に会員権を喪失する。
実務上の射程
権利能力のない社団の「団体自治」を尊重する判断であり、社団の内部関係(規約変更)は多数決原理が支配することを明示した。答案上は、個人の権利保護(個別承諾の要否)と団体意思の優先が対立する場面で、規約上の手続遵守を前提に、原則として多数決の拘束力を認める規範として活用する。
事件番号: 平成6(オ)1593 / 裁判年月日: 平成9年3月25日 / 結論: 棄却
預託金会員制ゴルフクラブにおいて、会則等に会員としての地位の相続に関する定めがなくても、右地位の譲渡に関する定めがあるなど判示の事実関係の下においては、会員の死亡によりその相続人は右地位の譲渡に準ずる手続を踏んでこれを取得することができる。
事件番号: 平成6(オ)1361 / 裁判年月日: 平成7年1月20日 / 結論: 破棄自判
ゴルフクラブの預託金制の平日会員としての入会契約の関係書類に会員権の譲渡を禁止する旨が直接明記されていなくても、会員募集要項において、正会員の株式の譲渡が自由であることを述べながら平日会員権の譲渡の可否に触れておらず、平日会員権と独立して他に譲渡することのできない家族会員権とを全く同列に扱い、規約の施行細則において正会…
事件番号: 平成1(オ)573 / 裁判年月日: 平成2年12月4日 / 結論: 棄却
一 株式を相続により準共有するに至った共同相続人は、商法二〇三条二項にいう「株主ノ権利ヲ行使スベキ者」の指定及びその旨の会社に対する通知を欠く場合には、特段の事情がない限り、株主総会決議不存在確認の訴えにつき原告適格を有しない。 二 株式を準共有する共同相続人間において商法二〇三条二項にいう「株主ノ権利ヲ行使スベキ者」…