会員制レジャークラブの経営者がその施設のうちゴルフコースを廃止して新たなゴルフコースを開設した場合において、新コースが、旧コースの跡地に建設されたクラブ内の唯一のゴルフコースであるほか、経営者が、当初から将来的にはより敷地面積の広いコースを設置する計画を有しており、これを早くから公表し旧コース以上のコースが設置されることになっているかのように宣伝していたことがうかがわれるなど判示の事情の下においては、新コースが旧コースと比較して二倍以上の距離を有し質的に相当向上した施設であるということだけで従前からの会員の新コースに対する利用権を否定した原審の判断には、契約に関する法令解釈を誤った違法がある。
会員制レジャークラブの経営者がその施設のうちゴルフコースを廃止して新たなゴルフコースを開設した場合において従前からの会員の新コースに対する利用権を否定した原審の判断に違法があるとされた事例
民法第3編第2章契約
判旨
ゴルフ場クラブ会員が有する施設利用権の範囲は、入会契約締結時の合意内容に基づき決定されるべきであり、既存施設の改造や将来設置予定の施設も含まれ得る。運営会社が施設を質的に向上させたとしても、会員の同意なく一方的に追加金を課し、不払いを理由に利用権を制限することは許されない。
問題の所在(論点)
入会契約時に利用範囲が具体的に定められていない場合、施設の大規模改造後における施設利用権の範囲はいかに決定されるか。また、建設費等の負担を理由に会社側が一方的に利用権を制限できるか。
規範
会員制レジャークラブの施設利用権の範囲は、契約書に明記がない場合、原則として(1)入会時に設置済みの施設のほか、(2)将来設置が予定され完成後に無条件での利用が暗黙に了解されていた施設、および(3)既存施設を改造したものと評価できる施設を含む。一旦成立した利用権の内容は、特段の事情がない限り、会社側が一方的に変更・制限することはできない。
重要事実
レジャークラブ運営会社である被上告人は、当初9ホールの旧ゴルフコースを設置していたが、後に約15億円を投じて質的に向上した新コース(9ホール)へ改造した。被上告人は会則・細則を一方的に改定し、新コースの全日利用には追加預託金の支払が必要であるとし、支払を拒んだ正会員である上告人らの休日利用を制限した。上告人らは新コースについても全日利用権を有することの確認を求めた。
あてはめ
上告人らは入会時、旧コースを全日利用する権利を有していた。新コースは旧コースの跡地に建設された唯一のゴルフ施設であり、規模も9ホールにとどまることから、既存施設の改造と評価し得る。被上告人が多額の建設費を要したとしても、それは当然に会員が負担すべき理由にはならず、会員の同意なく一方的に利用制限を課すことはできない。また、被上告人が当初から将来の拡張計画を公表・宣伝していた事情があれば、新コースも入会契約の対象に含まれていたと解される余地がある。
結論
新コースが旧コースと質的に異なるという理由だけで直ちに利用権を否定することはできず、入会時の合意内容等に照らし利用権の範囲を判断すべきであるとして、原判決を破棄し差し戻した。
実務上の射程
会員制契約における施設利用権の定型的な解釈枠組みを示したものである。会社側の施設変更権や規約改正権が、会員の既得権的地位をどこまで侵害できるかの限界を画する際に参照される。答案上は、契約解釈の一般論として、当時の説明内容や宣伝、施設の代替性を考慮要素として論述する際に活用する。
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