宅地建物取引業保証協会における宅地建物取引業協会の会員であることを入会資格要件とする定めは,同保証協会が,宅地建物取引業協会及び同協会を会員とする宅地建物取引業協会連合会との間で,宅地建物取引業法64条の3第1項2号所定の研修業務を共同で実施し,同項1号所定の苦情の解決についての業務を委託するなど密接な関係を有しており,宅地建物取引業協会の会員であってその指導,監督の下にある宅地建物取引業者であれば,上記研修の実施等により,同項3号所定の弁済業務に係る制度を適切に運営し,これを維持するための関係法令の遵守等が相当程度期待し得るものとして定められたものであること,宅地建物取引業者は,同保証協会に入会しなくても,同法25条に規定する営業保証金を供託することにより宅地建物取引業を営むことができることなど判示の事情の下においては,同保証協会が宅地建物取引業者からの入会申込みにつき上記要件を満たさないことを理由にこれを拒否したことは,不法行為とならない。
宅地建物取引業保証協会が宅地建物取引業者からの入会申込みにつき宅地建物取引業協会の会員でなければならないとの資格要件を満たさないことを理由にこれを拒否したことが不法行為とならないとされた事例
民法709条,宅地建物取引業法25条,宅地建物取引業法64条の2,宅地建物取引業法64条の3,宅地建物取引業法64条の13,宅地建物取引業法74条
判旨
宅地建物取引業保証協会が、都道府県の宅建業協会の会員であることを入会資格と定めることは、法令遵守等の観点から合理性があり公序良俗に反しない。また、かかる要件を定款の実施細目で定めることも、理事会の承認権限を具体化するものとして有効である。
問題の所在(論点)
指定保証協会が入会資格として他の任意団体(都道府県宅建業協会)への加入を義務付ける規定は、公序良俗に反し無効か。また、これを定款本体ではなく施行規則で定めることは定款違反となるか。
規範
法人が法令に基づく指定を受け、その社員が法令上の優遇措置(営業保証金の供託免除等)を受ける場合であっても、社員資格の定めが、法人の目的や事業の性質に照らして具体的に合理性を有する限り、公序良俗(民法90条)に反せず有効である。また、定款が理事会の承認を入会要件としている場合、その具体的な資格要件を定款施行規則等の実施細目で定めることは、定款に違反しない。
重要事実
宅建業者である被上告人は、指定保証協会である上告人に入会を申し込んだ。上告人の定款には「入会には理事会の承認を要する」とあり、施行規則には「各都道府県の宅建業協会の会員であること」が入会資格要件として規定されていた。被上告人は当該地域の宅建業協会に加入していなかったため、上告人は入会を拒否。被上告人は、この入会資格要件は不当な差別であり無効であるとして、損害賠償等を請求した。
あてはめ
保証協会の弁済業務は社員の分担金を原資としており、協会は入会者の信用性や法令遵守体制に重大な利害関係を有する。上告人は各都道府県の宅建業協会と共同で研修を行い、苦情解決業務を委託するなど密接な関係にあり、同協会の指導・監督下にある業者であれば法令遵守が期待できるという判断には十分な合理性がある。さらに、宅建業者は保証協会に加入せずとも、自ら営業保証金を供託すれば営業可能であり、加入強制はない。また、定款が理事会の承認を求めている以上、規則でその判断基準を具体化することは定款の施行に必要な事項といえる。
結論
本件入会資格要件は公序良俗に反せず有効であり、これに基づき入会を拒否したことに違法性はない。損害賠償請求は棄却される。
実務上の射程
公共的性格を有する団体であっても、事業目的の遂行のために合理的な範囲内であれば、構成員の資格に制限を課すことが認められる。司法試験においては、私的団体の内部規則による制約が公序良俗や平等原則に照らして許容されるかという「私人間効力」や「団体の自治」の文脈で活用できる。
事件番号: 平成16(受)1968 / 裁判年月日: 平成18年3月17日 / 結論: その他
1 A入会部落の慣習に基づく入会集団の会則のうち入会権者の資格要件を一家の代表者としての世帯主に限定する部分は,現在においても,公序良俗に反するものということはできない。 2 A入会部落の慣習に基づく入会集団の会則のうち,入会権者の資格を原則として男子孫に限定し,同入会部落の部落民以外の男性と婚姻した女子孫は離婚して旧…