一 卸売業者等が小売業者に対して商品の販売に当たり顧客に商品の説明をすることを義務付けるなどの形態によって販売方法に関する制限を課することは、それが当該商品の販売のためのそれなりの合理的な理由に基づくものと認められ、かつ、他の取引先に対しても同等の制限が課せられている限り、昭和五七年公正取引委員会告示第一五号(不公正な取引方法)の13に定める拘束条件付取引に当たらない。 二 特定のメーカーの化粧品の卸売業者が小売業者に対して特約店契約によりいわゆる対面販売を義務付けることは、それが他の商品とは区別された当該化粧品に対する顧客の信頼(いわゆるブランドイメージ)を保持しようとする理由に基づくものでそれなりの合理性があり、右卸売業者が他の取引先とも同一の約定を結んでいるなど判示の事実関係の下においては、昭和五七年公正取引委員会告示第一五号(不公正な取引方法)の13に定める拘束条件付取引に当たらない。
一 卸売業者等が小売業者に対して販売方法に関する制限を課することと昭和五七年公正取引委員会告示第一五号(不公正な取引方法)の13に定める拘束条件付取引 二 特定のメーカーの化粧品の卸売業者が小売業者に対して特約店契約によりいわゆる対面販売を義務付けることが昭和五七年公正取引委員会告示第一五号(不公正な取引方法)の13に定める拘束条件付取引に当たらないとされた事例
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律2条9項,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律19条,昭和57年公正取引委員会告示15号(不公正な取引方法)の13
判旨
メーカーが小売業者に対し、商品の対面販売を義務付ける等の販売方法の制限を課すことは、当該商品の販売のための合理的な理由に基づき、かつ他の取引先にも同等の制限が課されている限り、独占禁止法上の「不公正な取引方法」には当たらない。
問題の所在(論点)
メーカーによる「対面販売の義務付け」という販売方法の制限が、独占禁止法2条9項4号、一般指定13項(拘束条件付取引)または12項(再販売価格の拘束)の「不公正な取引方法」として違法となるか。
規範
メーカー等が小売業者に対し、商品の販売方法に関する制限を課すことは、①当該商品の販売のためのそれなりの合理的な理由に基づくものと認められ、かつ、②他の取引に対しても同等の制限が課されている限り、原則として、公正な競争秩序に悪影響を及ぼすおそれはなく、独占禁止法2条9項4号、一般指定13項の「不当に」拘束する条件を付けた取引(拘束条件付取引)には当たらない。また、販売方法の制限が手段として再販売価格の拘束(一般指定12項)を行っていると認められない限り、単に小売価格が安定する効果が生ずるというだけでは直ちに同項に違反しない。
事件番号: 平成9(オ)2156 / 裁判年月日: 平成10年12月18日 / 結論: 棄却
卸売業者が小売業者に対していわゆるカウンセリング販売を義務付ける特約店契約中の約定が独占禁止法一九条に違反しない場合には、右小売業者に対して特約店契約を締結していない小売店等に対する卸売販売を禁止することも、同条に違反しない。
重要事実
化粧品販売会社である被上告人は、特約店契約において、顧客への適切な説明とブランドイメージ保持を目的として、対面販売の義務を定めていた。特約店である上告人は、カタログを配布し電話等で注文を受ける「職域販売」を開始し、二割引きで販売を行ったが、この方法は対面での説明を一切欠くものであった。被上告人は是正を求めたが改善されなかったため、契約の解約条項に基づき本件特約店契約を解約した。上告人は、対面販売の義務付けが独占禁止法上の不公正な取引方法に該当し無効であると主張して、契約上の地位確認を求めた。
あてはめ
本件の対面販売義務は、皮膚トラブルの防止や美容効果の向上、ブランドイメージの保持という目的を有しており、化粧品という商品の特性に照らせば、販売方法として①「合理的な理由」があるといえる。また、被上告人は全特約店に対して一律に同様の契約を締結しており、②「同等の制限」が課されている。さらに、本件解約は値引販売そのものを問題としたものではなく、対面販売を手段として価格を拘束している実態も認められない。したがって、本件制限は相手方の事業活動を「不当に」拘束するものとは評価できず、再販売価格の拘束にも該当しない。
結論
本件対面販売の約定は独占禁止法に違反せず有効である。したがって、これに違反した上告人に対する本件解約は適法であり、上告人の請求は棄却される。
実務上の射程
非価格制限のうち、販売方法の制限(対面販売等)の適法性判断基準を示した重要判例である。答案上は、制限の「目的の合理性」と「適用の一貫性(非差別性)」を二大要素として検討する。価格維持効果が生じていても、主目的が販売方法の適正化にあれば直ちに違法とならない点に注意が必要である。
事件番号: 平成15(受)1710 / 裁判年月日: 平成16年11月26日 / 結論: 破棄自判
宅地建物取引業保証協会における宅地建物取引業協会の会員であることを入会資格要件とする定めは,同保証協会が,宅地建物取引業協会及び同協会を会員とする宅地建物取引業協会連合会との間で,宅地建物取引業法64条の3第1項2号所定の研修業務を共同で実施し,同項1号所定の苦情の解決についての業務を委託するなど密接な関係を有しており…