請負人と雇用契約を締結し注文者の工場に派遣されていた労働者が注文者から直接具体的な指揮命令を受けて作業に従事していたために,請負人と注文者の関係がいわゆる偽装請負に当たり,上記の派遣を「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」に違反する労働者派遣と解すべき場合において,(1)上記雇用契約は有効に存在していたこと,(2)注文者が請負人による当該労働者の採用に関与していたとは認められないこと,(3)当該労働者が請負人から支給を受けていた給与等の額を注文者が事実上決定していたといえるような事情はうかがわれないこと,(4)請負人が配置を含む当該労働者の具体的な就業態様を一定の限度で決定し得る地位にあったことなど判示の事情の下では,注文者と当該労働者との間に雇用契約関係が黙示的に成立していたとはいえない。
請負人と雇用契約を締結し注文者の工場に派遣されていた労働者が注文者から直接具体的な指揮命令を受けて作業に従事していたために,請負人と注文者の関係がいわゆる偽装請負に当たり,上記の派遣を違法な労働者派遣と解すべき場合に,注文者と当該労働者との間に雇用契約関係が黙示的に成立していたとはいえないとされた事例
労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律2条1号,職業安定法4条6項,労働契約法6条,民法623条,民法632条
判旨
いわゆる「偽装請負」の状態にあったとしても、派遣先と労働者との間に黙示の労働契約が成立したと認めるには、特段の事情がない限り、派遣先が当該労働者に対し直接雇用することを申し出、労働者がこれを承諾するといった契約成立の合致が必要であり、労働者派遣法違反の状態のみをもって直ちに労働契約の成立を推認することはできない。
問題の所在(論点)
請負(派遣)契約が偽装請負(労働者派遣法違反)に該当する場合、派遣先(利用者)と労働者との間に、契約上の合意がないまま黙示の労働契約が成立するか。
規範
労働者と第三者との間に形式上労働契約が成立している場合、当該労働者と実際の利用者との間に黙示の労働契約が成立したといえるためには、利用者が労働者を直接雇用する旨の意思表示をし、労働者がこれを承諾したと認めるに足りる客観的事実が必要である。単に労働の実態が直接雇用に類似していることや、労働者派遣法等の規制を免れる目的で形式的な契約形態が採られていた(偽装請負)ことのみから、直ちに契約成立の意思の合致を推認することはできない。
重要事実
労働者(原告)は、請負会社に雇用され、松下プラズマディスプレイ(被告)の工場で製造業務に従事していた。実態は被告の指揮命令を受ける「偽装請負」の状態であったが、被告は原告に対し直接雇用を申し出た事実はなかった。その後、労働局の是正指導を受け、被告は原告を期間契約社員として直接雇用する提案をしたが、原告は「期間の定めのない雇用」を求めて拒否した。原告は、それ以前の偽装請負期間中に、被告との間に黙示の期間の定めのない労働契約が成立していたと主張した。
あてはめ
被告は原告に対し、具体的な採用の意思表示を行っておらず、原告も当初は請負会社の従業員として勤務する認識であった。偽装請負の状態は法的に非難されるべきであるが、私法上の労働契約が成立するためには、当事者間の合意(意思の合致)が不可欠である。労働者派遣法違反があるからといって、裁判所が合意を擬制して契約の成立を認めることはできない。被告が後に提示した期間雇用も、原告が合意しなかった以上、期間の定めのない契約への転換を基礎づける事実とはならない。
結論
被告と原告との間に、直接の労働契約(黙示の労働契約)の成立は認められない。
実務上の射程
偽装請負事案における黙示の労働契約の成否について、労働実態のみならず「契約成立の意思合致」を重視する厳格な判断基準を示した。本判決後の労働者派遣法改正により、違法派遣時の「労働契約申込みみなし制度」(40条の6)が創設される契機となった。
事件番号: 平成6(オ)2415 / 裁判年月日: 平成10年12月18日 / 結論: 棄却
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