卸売業者が小売業者に対していわゆるカウンセリング販売を義務付ける特約店契約中の約定が独占禁止法一九条に違反しない場合には、右小売業者に対して特約店契約を締結していない小売店等に対する卸売販売を禁止することも、同条に違反しない。
卸売業者が特約店契約によっていわゆるカウンセリング販売を義務付けている小売業者に対して特約店契約を締結していない小売店等に対する卸売販売を禁止することと独占禁止法一九条
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律2条9項,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律19条,昭和57年公正取引委員会告示15号(不公正な取引方法)の12,昭和57年公正取引委員会告示15号(不公正な取引方法)の13
判旨
化粧品メーカーが特約店に対し、顧客へのカウンセリング販売の義務化や非特約店への卸売禁止を課すことは、合理的な理由があり、他の取引先にも同様の制限を課している限り、不公正な取引方法(拘束条件付取引)には当たらない。
問題の所在(論点)
特約店契約における「カウンセリング販売の義務付け」および「非特約店への卸売禁止」の約定が、独占禁止法19条が禁止する不公正な取引方法(拘束条件付取引または再販売価格の拘束)に該当し、私法上無効となるか。
規範
販売方法に関する制限を課す行為が、独占禁止法上の「不当に」拘束する条件(一般指定13項)に該当するか否かは、公正な競争秩序への悪影響の有無によって判断する。具体的には、①メーカー等の販売政策・方法の選択の自由を尊重し、②当該商品の販売のための合理的な理由が認められ、かつ、③他の取引先に対しても同等の制限が課されている限り、原則として「不当」な拘束には当たらない。また、当該制限が再販売価格の拘束(一般指定12項)の手段となっている場合は別途考慮を要するが、単に小売価格が安定する効果が生じるだけでは不当とはいえない。
重要事実
化粧品卸売業の被上告人は、小売店の上告人と特約店契約を締結した。契約には、顧客に対する対面での「カウンセリング販売」の義務と、ブランドイメージ維持や肌トラブル防止を目的とした「非特約店への卸売禁止」条項、および30日前の予告による解約条項が含まれていた。上告人は、供給を受けた商品の大部分をカウンセリングを行わない通信販売業者へ秘匿して卸売りしていた。被上告人はこの契約違反を理由に、解約条項に基づき契約を解約したため、上告人が契約上の地位確認等を求めて提訴した。
あてはめ
まず、カウンセリング販売は商品の美容効果を高め、トラブルを防止してブランドイメージを保持する目的があり、化粧品の特性からみて「合理的な理由」がある。また、被上告人は全特約店に同一内容の約定を課しており、平等に運用されている。次に、非特約店への卸売禁止は、カウンセリング販売の実効性を確保するために「必然的に伴う義務」であり、主たる制限が妥当である以上、これも不当とはいえない。さらに、これらの制限が販売価格を直接拘束する手段として利用された形跡もなく、再販売価格の拘束にも当たらない。したがって、本件約定は独占禁止法に違反しない。
結論
本件各条項は不公正な取引方法に該当せず有効である。上告人の義務違反を理由とした被上告人による本件解約は有効であり、上告人の請求は棄却される。
実務上の射程
ブランドイメージ保護を目的とした販売網の維持(選択的流通)に関するリーディングケース。販売方法の制限が「合理的な理由」に基づく非価格制限である限り、広範に有効性を認める。答案上は、独禁法の不当性の判断基準として、「合理的な理由」と「同等の制限(非差別性)」の二要素を明示することが肝要である。
事件番号: 平成15(受)1710 / 裁判年月日: 平成16年11月26日 / 結論: 破棄自判
宅地建物取引業保証協会における宅地建物取引業協会の会員であることを入会資格要件とする定めは,同保証協会が,宅地建物取引業協会及び同協会を会員とする宅地建物取引業協会連合会との間で,宅地建物取引業法64条の3第1項2号所定の研修業務を共同で実施し,同項1号所定の苦情の解決についての業務を委託するなど密接な関係を有しており…