大学の学長を会長とし,全学生,教官等を会員として組織され,大学により設立を承認されて学生の課外活動を推進する事業を行う権利能力のない社団が,その事務室は大学構内にあり,課外活動を行う学生のサークルに対する大学の共用施設の提供や全学生から徴収した会費等を原資とする援助金の交付などに関する事務を行っていたこと,同社団の組織及び事業内容は,大学及びその教育活動と密接な関係を有するものであったこと,しかるに,同社団の運営が承認の趣旨に反するものとなり,その改善が困難であることなど判示の事情の下においては,大学は,上記承認を取り消してその解散を決定することができる。
大学が全学生,教官等により組織され学生の課外活動を推進する事業を行う権利能力のない社団の解散を決定することができるとされた事例
民法33条,民法68条,学校教育法52条
判旨
大学が設立を承認し、教育活動と密接に関係する権利能力なき社団について、運営改善が困難な相当の理由がある場合、大学は設立承認を取り消し、解散を決定できる。これに伴い、事業消滅を理由に行われた従業員の解雇は、解雇権の濫用に当たらない。
問題の所在(論点)
大学が学生団体の解散を決定できる権限を有するか。また、団体の解散・事業消滅に伴って行われた解雇が、解雇権の濫用となるか。
規範
1. 大学が設立を承認した内部団体において、運営が承認の趣旨に反し、改善が困難であるなど相当の理由がある場合、大学は設立承認を取り消し、当該団体を解散させることができる。 2. 団体の解散・事業廃止に伴い、担当事務が消滅したことを理由とする解雇は、それがやむを得ない対応といえる場合には、客観的合理的理由及び社会通念上の相当性を有し、解雇権の濫用(労働契約法16条参照)とはならない。
重要事実
D大学内の学生団体(上告人)は、大学が設立を承認し、学長を会長とする密接な関係にある権利能力なき社団であった。嘱託員の被上告人は、本来雑用的事務を担う立場ながら、幹事会等に出席し運営に強い影響を与えていた。大学側は、被上告人の関与を「学生の自主運営」に反すると問題視し、是正を求めたが改善されなかった。そこで大学は、代替組織の設立を承認し、上告人の解散を決定。事務室を閉鎖し、事業消滅を理由に被上告人を解雇した。
あてはめ
大学は学生の課外活動を指導する権限と責務を負う(学校教育法1条等)。本件上告人は大学と密接不可分の団体であり、嘱託員が意思決定に影響を及ぼす不適切な運営が継続し、自浄作用も期待できない状況にあった。このような運営改善困難な状況下での大学による解散決定には相当な理由があり、適法である。その結果、上告人の事業は代替組織に引き継がれ、被上告人の担当事務は消滅したのであるから、解雇は客観的状況に即したやむを得ない対応といえる。
結論
大学による解散決定には相当の理由があり、これに伴う本件解雇は解雇権の濫用には当たらない。
実務上の射程
本判決は、大学と密接に関係する内部団体の法人格(権利能力なき社団)としての独立性を認めつつも、教育目的の観点から大学の管理権を肯定した。答案上は、事業廃止に伴う「整理解雇」の法理における解雇の必要性(客観的合理的理由)を論じる際の参照事例となる。特に、実質的に団体消滅が避けられない場合の解雇の有効性を判断する材料として機能する。
事件番号: 令和5(受)906 / 裁判年月日: 令和6年10月31日 / 結論: 破棄差戻
大学の人間生活学部人間生活学科生活福祉コースにおいて、介護福祉士等の資格及びその実務経験を有する教員により、介護実習、レクリエーション現場実習といった授業等が実施されていたなど判示の事情の下においては、上記コースの講師の職は、大学の教員等の任期に関する法律4条1項1号所定の教育研究組織の職に当たる。
事件番号: 平成11(受)722 / 裁判年月日: 平成13年4月26日 / 結論: 破棄自判
個人タクシー事業者を組合員とするD組合において,組合員に対する除名決議のされた総代会までに被除名者たる組合員に対する除名事由が具体的に明らかにされることなく,理事長において当該組合員の関与しない事実を含む一連の事実経過をもって当該組合員を含む複数の組合員を包括的に除名すべきものと主張していたにすぎないなど判示の事実関係…