労働者の提起した労働契約上の地位を有することの確認を求める訴訟は、当該労働者の死亡により当然終了する。
労働者の死亡と労働契約上の地位確認請求訴訟の承継の成否
民法623条,民訴法208条
判旨
労働契約上の地位は当該労働者の一身に専属するものであるため、相続の対象とはならず、労働契約上の地位確認訴訟は原告である労働者の死亡により当然に終了する。
問題の所在(論点)
労働契約上の地位確認訴訟において、訴訟継続中に原告である労働者が死亡した場合、当該訴訟は当然に終了するか、あるいは相続人による訴訟承継が認められるか。労働契約上の地位が相続の対象(民法896条ただし書)となるかが問題となる。
規範
労働契約上の地位自体は、当該労働者の一身に専属的なものであって、相続の対象になり得ない。したがって、権利関係の性質上、承継が認められないため、当該地位の確認を求める訴訟は当事者の死亡によって当然に終了(当然消滅)する。
重要事実
労働者が使用者に対し、労働契約上の地位を有することの確認を求めて訴訟を提起した。しかし、当該訴訟の継続中に原告である労働者が死亡した。これに対し、労働者の相続人(上告人ら)が訴訟を承継できるか、あるいは訴訟が終了するかが争点となった。
あてはめ
労働契約は、特定の労働者がその能力や個性を個別に評価されて締結されるものであり、債務の性質上、本人以外の者が代わって提供することはできない(一身専属性)。本件の訴訟物である労働契約上の地位は、まさにこの一身専属的な権利関係そのものである。したがって、労働者の死亡により当該地位は消滅し、相続人がこれを引き継ぐ余地はないといえる。
結論
労働契約上の地位確認訴訟は、原告である労働者の死亡により当然に終了する。
実務上の射程
地位確認訴訟だけでなく、労働契約に付随する一身専属的な権利義務を目的とする訴訟一般に射程が及ぶ。ただし、死亡時までに具体的に発生していた未払賃金債権や退職金債権の支払請求権については、財産的権利として相続の対象となるため、地位確認とは切り離して訴訟承継が認められる点に注意が必要である。
事件番号: 昭和50(オ)270 / 裁判年月日: 昭和53年6月16日 / 結論: その他
一 預託金会員制ゴルフクラブの会員の会員資格喪失につき当該クラブの会則中に、会員が死亡したときはその資格を失う旨の定めがあるときは、右クラブの会員たる地位は一身専属的なものであつて、相続の対象となりえない。 二 前項の場合において、会員が原告となつて追行していた右クラブからの除名の無効を前提とする会員たるの地位確認及び…