民法上の組合契約ないしそれに類似する無名契約にもとづく共同事業において、契約当事者間に、同人らが死亡したときはその相続人が当然に共同事業に関する被相続人の地位を相続する旨の合意が成立していたときでも、右契約をもつて委任された業務執行者の地位は相続の対象となるものではない。
民法上の組合契約ないしそれに類似する無名契約における契約当事者の死亡と業務執行者の地位の相続
民法667条,民法670条,民法679条,民法896条
判旨
民法上の組合契約に類似する共同事業において、当事者の死亡時に相続人がその地位を承継する旨の合意がある場合、特定の業務執行の委任がない限り、相続人は当然に業務執行に参加する権利を承継する。
問題の所在(論点)
民法上の組合に類似する共同事業において、地位承継の特約がある場合、相続人は業務執行に参加する権利を含めて承継できるか。業務執行者の地位の一身専属性との関係が問題となる。
規範
民法上の組合契約またはこれに類似する無名契約に基づく共同事業において、当事者が死亡した際にその相続人が当然に当該事業に関する地位を承継する旨の合意(特約)がある場合、その地位は相続の対象となる。もっとも、委任された業務執行者の地位自体は一身専属性を有し相続されないが、特定の当事者に業務執行が委任されていない限り、各当事者が有する「業務執行に参加する権利」は、承継された事業上の地位に伴い相続人に帰属する。
重要事実
兄弟であるDと上告人Aは、映画興行に関する共同事業を営んでいた。この事業は、詳細な取決めがなく団体的性格が希薄であり、かつ映画興行という事業内容から経営者の地位に強い個人的性格(一身専属性)も認められなかった。DとAの間には、一方が死亡したときはその相続人が当然に共同事業の地位を相続する旨の黙示の合意が存在した。その後Dが死亡し、被上告人らがDを相続した。A側は、業務執行者の地位は相続されないと主張して、被上告人らの地位承継を争った。
あてはめ
まず、本件事業は詳細な取決めがなく団体的性格が希薄で、事業内容も一身専属的ではないため、地位承継の合意は有効である。次に、DとAの間で特定の者に業務執行を委任する旨の特約は存在せず、両者が共同して業務執行に参加する権利を有していた。そうであれば、委任に基づく特定の業務執行者の地位の承継が否定されるとしても、当然に事業上の地位を承継した相続人らは、その地位に付随する権利として、業務執行に参加する権利を行使できると解される。
結論
相続人が当然に被相続人の地位を相続する旨の合意がある以上、特定の業務執行の委任がない本件においては、被上告人らは共同事業の地位を承継し、業務執行に参加する権利を有する。
実務上の射程
組合員の死亡は原則として脱退理由となる(民法679条)が、特約により相続を認めることができる。本判決は、この相続特約がある場合に、どの範囲の権利(特に業務執行権)が承継されるかを画した。特定の業務執行者が指定されている場合にはその地位は承継されないが、原則的な「組合員としての業務執行権」は地位の承継に伴うことを示しており、組合の相続実務における基準となる。
事件番号: 平成1(オ)812 / 裁判年月日: 平成元年9月22日 / 結論: 棄却
労働者の提起した労働契約上の地位を有することの確認を求める訴訟は、当該労働者の死亡により当然終了する。
事件番号: 昭和24(オ)112 / 裁判年月日: 昭和28年4月23日 / 結論: 破棄差戻
一 戸籍簿に戦死した旨記載されている者は、右記載が戸籍法第八九条の報告に基いて登載されたものと認められるときは、反証がない限り、戸籍簿に記載されている日に死亡したものと認むべきである。 二 本人の死亡を代理権消滅の原因とする民法第一一一条の規定は、これと異なる合意の効力を否定する趣旨ではない。 三 民訴第五七条および同…