国税通則法七〇条二項四号によつて更正をする場合、その更正の対象となるのは、「偽りその他不正の行為」によつてその全部又は一部の税額を免れた当該国税の全体であり、右「偽りその他不正の行為」によつて免れた税額部分に限られるものではない。
国税通則法七〇条二項四号によつて更正をする場合と更正の範囲
国税通則法70条2項4号
判旨
国税通則法70条2項4号(現4項1号)の「偽りその他不正の行為」がある場合、延長された除斥期間の適用範囲は、不正行為によって免れた税額部分に限られず、当該年度の更正等の全体に及ぶ。
問題の所在(論点)
国税通則法70条2項4号(現4項1号)に基づき除斥期間が延長される場合、その適用範囲は「不正行為によって免れた税額に相当する部分」に限定されるか、あるいは当該更正等の対象となる税額全体に及ぶか。
規範
国税通則法70条2項4号(現4項1号)は、不正行為によって税を免れた納税者に対し適正な課税を行うための規定である。その趣旨に鑑みれば、同条1項の除斥期間を延長する効果は、不正行為によって免れた税額に相当する部分のみならず、当該更正等に係る税額の全体に及ぶと解すべきである。
重要事実
上告人(納税者)において、国税通則法70条2項4号に規定される「偽りその他不正の行為」に該当する事由が存在した。これに対し、課税当局が通常の除斥期間(原則3年)を超えて更正処分等を行ったところ、上告人は、延長された除斥期間が適用される範囲は「不正行為によって免れた税額部分」に限定されるべきであると主張して、処分の取消しを求めて争った。
事件番号: 昭和51(行ツ)98 / 裁判年月日: 昭和57年2月23日 / 結論: 棄却
青色申告書による法人税の確定申告につき青色申告承認の取消処分後に法人税法(昭和四三年法律第二二号による改正前のもの)五七条の規定による繰越欠損金の損金算入を否認して更正処分がされ、次いで青色申告承認の取消処分が取り消された場合、被処分者は、国税通則法二三条二項の規定により減額更正の請求をすべきであつて、右更正処分の無効…
あてはめ
本件において上告人には「偽りその他不正の行為」が認められる。同条項の目的は、不正行為を行うような不誠実な納税者に対しては、課税の適正を確保するために通常よりも長い期間(5年、現7年)の更正・決定を認める点にある。したがって、一度不正行為が認められれば、その年度の課税標準等の更正については、不正に関連する部分か否かを問わず、延長された期間内であれば適法に行うことができるといえる。
結論
除斥期間延長の適用範囲は、不正行為により免れた税額部分に限定されない。したがって、延長された期間内になされた本件更正処分等は適法である。
実務上の射程
更正の除斥期間に関する基本判例である。答案上では、不正行為の存在を認定した後の「期間の計算」の段階で、一部に不正がある場合に全体について期間が延長される根拠として活用する。なお、現在の法文では「偽りその他不正の行為」がある場合の除斥期間は7年に延長されている(同法70条4項1号)。
事件番号: 平成12(行ヒ)32 / 裁判年月日: 平成16年7月13日 / 結論: 破棄自判
無限連鎖講を主宰していた個人が,その事業主体が法人でない社団で代表者の定めがあるものになったとして,同社団名義で法人税,法人事業税,法人県民税及び法人市民税の申告をした場合につき,外形的事実に着目する限りにおいては,その社団というものが,意思決定機関,業務執行機関,代表機関等の団体としての組織を備え,その意思決定を多数…
事件番号: 昭和43(行ツ)61 / 裁判年月日: 昭和47年12月5日 / 結論: 棄却
一、法人税青色申告についてした更正処分の通知書に、係争事業年度所得の更正の理由として、「営業譲渡補償金計上もれ一一五五万円」、「認定利息(代表者)計上もれ一万九八三九円」、清算所得の更正の理由として、「代表者仮払金三九万六八九〇円」、「営業譲渡補償金九〇五万円」と記載されているにすぎない場合には、いずれも理由附記として…
事件番号: 平成10(行ツ)77 / 裁判年月日: 平成16年9月7日 / 結論: 破棄自判
会社がその代表者に代わって同人の借入金の利息を支払ったことにより,その経済的利益に相当する同人に対する給与等(賞与)の支払があったことになって会社に源泉徴収による所得税の納税義務が客観的に成立したが,実際にされた納税の告知は,会社が同人に上記利息相当額を無利息で貸し付け,この貸付けに係る得べかりし利息相当額の経済的利益…