青色申告書による法人税の確定申告につき青色申告承認の取消処分後に法人税法(昭和四三年法律第二二号による改正前のもの)五七条の規定による繰越欠損金の損金算入を否認して更正処分がされ、次いで青色申告承認の取消処分が取り消された場合、被処分者は、国税通則法二三条二項の規定により減額更正の請求をすべきであつて、右更正処分の無効確認訴訟において繰越欠損金の損金不算入を無効事由として主張することはできない。
青色申告書による法人税の確定申告につき青色申告承認の取消処分後に法人税法(昭和四三年法律第二二号による改正前のもの)五七条の規定による繰越欠損金の損金算入を否認して更正処分がされ次いで青色申告承認の取消処分が取り消された場合に右更正処分の無効確認訴訟において繰越欠損金の損金不算入を無効事由として主張することの可否
国税通則法23条2項,法人税法(昭和43年法律第22号による改正前のもの)57条,行政事件訴訟法36条
判旨
更正処分の後に先行する青色申告承認取消処分が職権取消された場合、更正処分は遡及的に生じた法律関係に適合しなくなるが、その救済は専ら国税通則法23条2項に基づく更正の請求によるべきであり、更正処分の無効事由とはならない。
問題の所在(論点)
先行する青色申告承認取消処分が職権で取り消されたことにより、その承認取消を前提としてなされた更正処分に、無効原因となるような瑕疵が認められるか。また、このような後発的な事情が生じた場合の納税者の救済手段はいかにあるべきか。
規範
行政処分の効力によって生じた後発的な事情により、先行する課税処分の内容が法律関係に適合しなくなった場合、納税者の救済は原則として国税通則法に基づく更正の請求という特別の制度によって図られるべきである。したがって、かかる後発的事由を理由として、課税処分自体の取消しや無効を抗告訴訟において主張することはできない。
重要事実
事件番号: 昭和49(行ツ)111 / 裁判年月日: 昭和51年11月30日 / 結論: 棄却
国税通則法七〇条二項四号によつて更正をする場合、その更正の対象となるのは、「偽りその他不正の行為」によつてその全部又は一部の税額を免れた当該国税の全体であり、右「偽りその他不正の行為」によつて免れた税額部分に限られるものではない。
青色申告法人D社は欠損金を損金算入して確定申告を行った。税務署長はD社の青色申告承認を遡及的に取り消した上で、D社を吸収合併した上告人に対し、損金算入を否認して課税標準額等を増額する更正処分等を行った。しかし、後に税務署長は青色申告承認の取消処分を自ら職権で取り消した。上告人は、承認取消の取消しにより更正処分には重大かつ明白な瑕疵が生じたと主張して、その無効確認を求めた。
あてはめ
承認取消処分の職権取消により、D社は遡及的に青色申告法人の地位を回復し、当初の更正処分は過大な税額を算定したこととなり、遡及的に生じた法律関係に適合しない状態となった。しかし、このような不一致については、納税者は国税通則法23条2項に基づき、期間内に更正の請求を行うことが可能である。個別法が定めるこの特別の救済手段が存在する以上、抗告訴訟において当該事由を無効原因として主張することは認められない。
結論
本件更正処分等に無効原因となる瑕疵は認められず、上告人の無効確認請求は棄却されるべきである。
実務上の射程
課税処分の基礎となった前提処分(承認取消等)が後に消滅した場合の処理を明確にした。実務上は、抗告訴訟で争うのではなく、国税通則法上の「後発的更正の請求」の手続きを履践すべきことを示す。無効確認訴訟における「重大かつ明白な瑕疵」の判断においても、他に適当な救済手段があるか否かが考慮される一例といえる。
事件番号: 昭和54(行ツ)87 / 裁判年月日: 昭和57年12月21日 / 結論: 棄却
青色申告書提出承認の取消処分と同時に又はこれに引き続いて更正処分がされた場合に、たまたま右二つの処分の基礎とされた事実関係の全部又は一部が共通であつて、これに対する納税者の不服の事由も同一であるとみられるようなときでも、更正処分に対し適法に不服申立てを経たからといつて、それだけでは当然に、青色申告書提出承認の取消処分に…
事件番号: 平成12(行ヒ)32 / 裁判年月日: 平成16年7月13日 / 結論: 破棄自判
無限連鎖講を主宰していた個人が,その事業主体が法人でない社団で代表者の定めがあるものになったとして,同社団名義で法人税,法人事業税,法人県民税及び法人市民税の申告をした場合につき,外形的事実に着目する限りにおいては,その社団というものが,意思決定機関,業務執行機関,代表機関等の団体としての組織を備え,その意思決定を多数…
事件番号: 昭和43(行ツ)61 / 裁判年月日: 昭和47年12月5日 / 結論: 棄却
一、法人税青色申告についてした更正処分の通知書に、係争事業年度所得の更正の理由として、「営業譲渡補償金計上もれ一一五五万円」、「認定利息(代表者)計上もれ一万九八三九円」、清算所得の更正の理由として、「代表者仮払金三九万六八九〇円」、「営業譲渡補償金九〇五万円」と記載されているにすぎない場合には、いずれも理由附記として…
事件番号: 昭和37(オ)790 / 裁判年月日: 昭和39年2月18日 / 結論: 破棄自判
無申告加算税を課徴すべき場合に、過少申告加算税を課しても、その課税処分を無効とはいえない。