青色申告書提出承認の取消処分と同時に又はこれに引き続いて更正処分がされた場合に、たまたま右二つの処分の基礎とされた事実関係の全部又は一部が共通であつて、これに対する納税者の不服の事由も同一であるとみられるようなときでも、更正処分に対し適法に不服申立てを経たからといつて、それだけでは当然に、青色申告書提出承認の取消処分に対する取消訴訟の提起につき不服申立ての前置を不要と解することはできず、また、同処分に対する不服申立てを経ないことにつき国税通則法(昭和四五年法律第八号による改正前のもの)八七条一項四号にいう正当な理由があると解することもできない。
青色申告書提出承認の取消処分と処分の基礎となる事実関係の全部又は一部を共通にする更正処分に対し不服申立てが経由された場合と右取消処分に対する不服申立て経由の必要
国税通則法(昭和45年法律第8号による改正前のもの)87条1項4号,行政事件訴訟法8条1項
判旨
青色申告承認取消処分と更正処分は目的・効果を異にする別個の処分であり、後者への不服申立てがなされても、前者の不服申立て前置要件を充たすとは解されない。
問題の所在(論点)
青色申告承認取消処分と更正処分のように、事実関係や不服の事由が共通する複数の処分がなされた場合において、一方の処分についてのみ不服申立てを経ているときに、他方の処分に対する審査請求前置(行政事件訴訟法8条1項但書、国税通則法等)を不要と解することができるか。
規範
行政事件訴訟法19条1項による訴えの追加的併合であっても、追加される訴え自体が不服申立ての前置等の訴訟要件を具備する必要がある。また、複数の処分がなされた際、それらの目的・効果が異なり、手続も区別されている場合は、一方の処分に対する不服申立てがあったことをもって、他方の処分に対する不服申立てを実質的に同視し前置要件を不要とすることはできない。
重要事実
事件番号: 昭和51(行ツ)98 / 裁判年月日: 昭和57年2月23日 / 結論: 棄却
青色申告書による法人税の確定申告につき青色申告承認の取消処分後に法人税法(昭和四三年法律第二二号による改正前のもの)五七条の規定による繰越欠損金の損金算入を否認して更正処分がされ、次いで青色申告承認の取消処分が取り消された場合、被処分者は、国税通則法二三条二項の規定により減額更正の請求をすべきであつて、右更正処分の無効…
納税者である上告人に対し、青色申告書提出承認の取消処分と、これに続く更正処分がなされた。上告人は更正処分については適法に不服申立ての手続を経たが、承認取消処分については不服申立ての手続を経ないまま、行政事件訴訟法19条1項に基づき承認取消処分の取消しの訴えを追加的に併合して提起した。
あてはめ
承認取消処分は納税者の地位や申告方法に関するものであり、更正処分は納税義務や税額を確定する課税処分である。両者は目的・効果を異にし、手続も截然と区別されている。たとえ両処分の基礎となる事実関係が共通し、納税者の不服事由が同一であっても、更正処分への不服申立てをもって承認取消処分の不服申立てと実質的に同視することはできない。したがって、承認取消処分について不服申立てを経ていないことにつき正当な理由があるとも認められない。
結論
承認取消処分の取消しの訴えは、不服申立ての前置要件を欠くため不適法であり、却下されるべきである。
実務上の射程
手続が別個に規定されている処分間では、事実関係の共通性があっても前置要件の充足は個別に判断される。実務上、関連する複数の処分を争う際は、各処分について漏れなく不服申立てを行う必要がある。また、訴えの併合(行訴法19条)も新訴の提起と同様に訴訟要件の具備を要することを明示した点でも重要である。
事件番号: 昭和62(行ツ)77 / 裁判年月日: 昭和63年3月31日 / 結論: 棄却
収税官吏が犯則嫌疑者に対し国税犯則取締法に基づく調査を行つた場合に、課税庁が右調査により収集された資料を右の者に対する課税処分及び青色申告承認の取消処分を行うために利用することは許される。
事件番号: 平成14(行ヒ)147 / 裁判年月日: 平成16年12月24日 / 結論: 破棄自判
1 法人の各事業年度の所得の金額の計算において,金銭債権の貸倒損失を法人税法22条3項3号にいう「当該事業年度の損失の額」として当該事業年度の損金の額に算入するためには,当該金銭債権の全額が回収不能であることが客観的に明らかでなければならず,そのことは,債務者の資産状況,支払能力等の債務者側の事情のみならず,債権回収に…