道路交通法施行令(昭和四三年政令第二九八号による改正前のもの)三八条一号ニ、同条二号ハにいう「違反行為」とは、故意によるか過失によるかを問わないものと解すべきである。
道路交通法施行令(昭和四三年政令第二九八号による改正前のもの)三八条一号ニ、同条二号ハにいう「違反行為」の意義
道路交通法施行令(昭和43年政令第298号による改正前のもの)38条1号ニ,道路交通法施行令(昭和43年政令第298号による改正前のもの)38条2号ハ
判旨
道路交通法施行令(昭和43年改正前)における運転免許の取り消し・停止事由たる「違反行為」は、故意によるか過失によるかを問わない。
問題の所在(論点)
道路交通法施行令38条1号ニおよび2号ハに規定される、運転免許の取り消しや停止の対象となる「違反行為」に、過失による行為が含まれるか。すなわち、行政処分において主観的責任(故意)を要件とするかが問題となる。
規範
行政処分(運転免許の取り消し・停止)の基準となる「違反行為」の存否を判断するにあたっては、その行為が故意によるものであるか、あるいは過失によるものであるかを区別せず、客観的な違反事実の有無をもって判断すべきである。
重要事実
上告人(運転者)が、昭和43年政令第298号による改正前の道路交通法施行令38条2号ハに該当する行為を行ったとして、運転免許に関する行政処分を受けた。上告人は、当該違反行為が故意に基づくものではない等の理由から処分の違法を主張し、上告した。
事件番号: 昭和37(オ)49 / 裁判年月日: 昭和39年6月4日 / 結論: 破棄自判
タクシーの運転手が転回禁止区域における転回という、それ自体では免許停止処分の事由に該当するにすぎない違反行為をした場合であつても、公安委員会が、右違反行為はさきの免許停止処分の期間満了の日から起算して一年以内になされたものであり、しかも右運転手には違反歴がある等判示のような事情を勘案し、同運転手に対してした免許取消処分…
あてはめ
最高裁判所は、旧道路交通法施行令の規定を解釈し、同条にいう「違反行為」の意義について検討した。その結果、交通秩序の維持という行政目的の観点から、違反行為の成立に故意・過失の区別は不要であると判断した。本件において、上告人が同条2号ハに該当する客観的な事案が存在することは原審により適法に確定されているため、その行為が故意か過失かを問わず、「違反行為」に該当すると評価される。
結論
本件違反行為は道路交通法施行令の「違反行為」に該当し、当該行政処分は適法である。
実務上の射程
行政処分の要件となる「違反行為」の解釈において、処罰を目的とする刑罰とは異なり、行政上の目的を達成する観点から主観的態様の有無を問わないとする考え方を示す。交通行政に限らず、公法上の資格制限や処分の要件解釈において引用され得る。
事件番号: 昭和28(オ)1125 / 裁判年月日: 昭和29年5月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政庁による運転免許取消処分が裁量権の範囲を逸脱したとは認められず、また憲法25条は国家の責務を宣言する趣旨であって、個人の現実的な生活権を直接保障するものではない。 第1 事案の概要:上告人は、B県公安委員会から受けた運転免許取消処分について、当該処分が生存権を侵害し違法であると主張して争った。…
事件番号: 平成17(行ヒ)149 / 裁判年月日: 平成18年7月21日 / 結論: 破棄自判
信号機等により交通整理の行われていない交差点を南から北に直進しようとした加害者の運転する自動車が,同交差点の北側出口付近の自転車横断帯の北側に接する横断歩道上を東から西に横断中の被害者の運転する自転車に衝突して被害者を負傷させた場合において,上記自動車の進行してきた道路は交差点手前で道路標識等により一時停止すべきことが…
事件番号: 昭和39(行ツ)44 / 裁判年月日: 昭和40年8月2日 / 結論: 棄却
自動車等運転免許の取消処分の取消を求める訴訟の継続中、当該運転免許証の有効期間が経過した場合でも、その訴は利益を失われない。