債権の仮差押にも民訴法七四九条三項の規定の適用があり、右規定に基づき、仮差押命令を債務者に送達する前にその執行としてこれを第三債務者に送達した場合においても、仮差押の効力は、第三債務者に対する送達の時に生ずる。
債権仮差押についての民訴法七四九条三項の適用と仮差押の効力の発生時期
民訴法749条5項,民訴法748条,民訴法598条5項
判旨
債権の仮差押えの効力は、仮差押命令が債務者に送達される前であっても、第三債務者に送達された時に発生する。
問題の所在(論点)
債権の仮差押命令が債務者に送達される以前に第三債務者に送達された場合、仮差押えの効力はいつ発生するか。また、その後に発せられた転付命令の効力はどうなるか。
規範
債権の仮差押執行には債権執行の規定が準用され、仮差押命令が第三債務者に送達された時にその効力を生ずる(民事保全法43条1項、民事執行法145条4項参照)。仮差押命令を債務者に送達する前であっても執行できるとする規定(民保法43条2項参照)の趣旨は、仮差押えの迅速性及び密行性を確保する点にあるため、債務者への送達前であっても、第三債務者への送達により効力が発生すると解すべきである。
重要事実
補助参加人が債権仮差押命令を申請し、当該命令は第三債務者である被上告人に送達された。その後、仮差押命令が債務者に送達されるまでの間に、上告人が同一の債権について転付命令を得た。上告人は、債務者への送達前に生じた仮差押えの効力を否定し、自らの転付命令の有効性を主張して争った。
あてはめ
本件では、補助参加人の申請にかかる仮差押命令が、債務者への送達に先立ち第三債務者である被上告人に送達されている。前述の規範に照らせば、仮差押えの効力はこの第三債務者への送達時に発生する。そうすると、その後に上告人が得た債権転付命令は、既に仮差押えの効力が生じている債権を対象とするものであるため、仮差押えと抵触する限度でその効力を有しない(無効である)と評価される。
結論
債権の仮差押えの効力は第三債務者への送達時に発生するため、その後に発せられた転付命令は無効である。
実務上の射程
民事執行法・民事保全法上の基本的な規律を確認した判例である。答案上は、仮差押えと他の債権処分(譲渡や差押え)の優劣が問題となる場面で、効力発生時期の基準として「第三債務者への送達時」を摘示するために用いる。現在の民事保全法43条の解釈の根拠となる。
事件番号: 昭和46(オ)521 / 裁判年月日: 昭和49年10月24日 / 結論: 棄却
第三債務者が債権仮差押命令の送達を受ける前に債務者に対し債務支払のために小切手を振り出していた場合には、右送達後にその小切手が支払われたとしても、第三債務者は右債務の消滅を仮差押債権者に対抗することができる。