甲の乙丙に対する乙丙の共同不法行為を理由とする損害賠償請求訴訟の第一審において、乙に対する請求を認容し、丙に対する請求を棄却する判決があり、乙が自己に対する判決につき控訴しないときは、乙は、甲丙間の判決について控訴するため甲に補助参加をすることができる。
共同訴訟人の一人が相手方と他の共同訴訟人との訴訟につき相手方に補助参加をすることができる場合
民法719条,民訴法64条
判旨
第一審で敗訴した共同被告の一人が、他の被告の責任が認められることで求償権を得る等の利益を有する場合、控訴審において原告側に補助参加し、原告に代わって控訴を提起することは適法である。
問題の所在(論点)
一審で敗訴した被告が、控訴審において、他の被告の責任を肯定させるために原告側に補助参加し、原告のために控訴を提起することができるか。民事訴訟法42条の「利害関係」の有無が問題となる。
規範
訴訟の結果について「利害関係を有する」(民事訴訟法42条)とは、当該訴訟の判決が参加人の法的地位に論理的に影響を及ぼすおそれがある場合を指す。共同不法行為者の一方は、他の不法行為者の責任が認められれば、各自賠償により負担が軽減されるとともに、求償権(民法719条等)を行使し得る地位に立つ。したがって、自己に対する敗訴判決が確定していても、他の被告の責任を追及するために相手方(原告)を補助する利益が認められ、補助参加人による控訴(同法45条)も許容される。
重要事実
被上告人(原告)は、補助参加人(被告1)と上告人ら(被告2・3)が運転・保有する自動車同士の衝突により負傷したとして損害賠償を請求した。一審判決は被告1に対する請求のみを認容し、被告2・3への請求を棄却した。被告1は控訴しなかったが、被告2・3にも賠償責任があるとして、原告側に補助参加を申し立てると同時に、原告を控訴人とする控訴を提起した。
あてはめ
本件訴訟で上告人ら(被告2・3)の賠償責任が認められれば、補助参加人(被告1)は、上告人らと各自に損害を賠償すれば足りることとなる。さらに、自ら全額を賠償した場合には、上告人らに対して求償権を行使することが可能となる。このように、上告人らの敗訴(被上告人の勝訴)によって補助参加人は法的利益を得る立場にあるため、被上告人の敗訴を防ぐことに「利害関係」が認められる。
結論
被告1による原告側への補助参加、および原告のための控訴提起は適法である。
実務上の射程
共同不法行為の事案において、一部の被告のみが敗訴した場合に、その被告が求償権の確保を目的として原告側に立って他の被告を追及する手法(いわゆる「敵の敵は味方」型の補助参加)を肯定した重要な判例である。答案上は、補助参加の利益を判断する際、単なる事実上の利益ではなく、求償権という「法的利益」に着目して論述すべきである。
事件番号: 昭和41(オ)58 / 裁判年月日: 昭和41年11月18日 / 結論: 棄却
一 使用者は、被用者と第三者との共同過失によつて惹起された交通事故による損害を賠償したときは、右第三者に対し、求償権を行使することができる。 二 右の場合における第三者の負担部分は、共同不法行為者である被用者と第三者との過失の割合にしたがつて定められるべきである。