一 使用者は、被用者と第三者との共同過失によつて惹起された交通事故による損害を賠償したときは、右第三者に対し、求償権を行使することができる。 二 右の場合における第三者の負担部分は、共同不法行為者である被用者と第三者との過失の割合にしたがつて定められるべきである。
一 被用者と第三者との共同過失によつて惹起された交通事故による損害を賠償した使用者の第三者に対する求償権の成否 二 右の場合における第三者の負担部分
民法719条,民法442条
判旨
共同不法行為者の一方が被害者に損害を賠償したときは、他方の不法行為者に対し、各自の過失の割合に従って定められる負担部分について求償権を行使することができる。
問題の所在(論点)
共同不法行為者の一方が損害を賠償した場合において、他の不法行為者に対して過失割合に応じた求償を請求することの可否。
規範
共同不法行為(民法719条1項)において、各加害者は被害者に対し、各自が蒙った全損害を賠償する義務(不真正連帯債務)を負う。この債務を弁済した加害者は、他の加害者に対し、各自の過失の割合に従って定められるべき負担部分について求償権を行使することができる。
重要事実
タクシー運転手B(被上告会社の被用者)の運転する車両と、上告人が運転する車両が衝突事故を起こした。この事故はBと上告人双方の過失により惹起され、タクシー乗客Dが傷害を負った。被上告会社は、雇用主としてDに対し損害を賠償した上で、上告人に対し求償を求めて提訴した。原審は、上告人とBの過失割合を8対2と認定した。
あてはめ
本件事故はBと上告人の双方の過失によって生じた共同不法行為であり、両者は被害者Dに対して各自全額の賠償義務を負う。被上告会社は、使用者としてDに対し全損害を弁済したことで、連帯債務の法理を類推し、共同不法行為者である上告人に対してその負担部分の支払いを求めることができる。本件では、過失割合が8対2と確定されているため、上告人はその割合に応じた負担部分について、被上告会社からの求償に応じる義務がある。
結論
共同不法行為者の一方が全額を弁済したときは、他方の不法行為者に対し過失割合に応じた求償権を行使できるため、上告人の求償義務を認めた原判決は正当である。
実務上の射程
不真正連帯債務における求償権の根拠を認めた重要判例。答案では、民法719条の不真正連帯債務の性質を論じた後、公平の観点から当然に求償権が認められるとする際の規範として活用する。過失相殺の法理を準用して負担部分を決定する実務の基礎となる。
事件番号: 昭和40(オ)73 / 裁判年月日: 昭和41年7月28日 / 結論: 棄却
共同不法行為者に対する共同訴訟は必要的共同訴訟ではない。
事件番号: 昭和60(オ)1145 / 裁判年月日: 昭和63年7月1日 / 結論: 破棄自判
被用者と第三者との共同不法行為により他人に損害を加えた場合において、第三者が自己と被用者との過失割合に従つて定められるべき自己の負担部分を超えて被害者に損害を賠償したときは、第三者は、被用者の負担部分について使用者に対し求償することができる。