一、農地法施行規則一四条ノ二の規定に基づく小作料の最高額の基準額の定めは憲二九条に違反しない。 二、農地法二一条、二二条、二三条は、小作料について現物納、代金納制を禁止し、定額金納制一本に法定し、その額を所定の基準に基づいて統制することを定めた規定である。 三、農地法二一条、二二条は、憲法二九条に違反しない。
一、農地法施行規則一四条ノ二の規定に基づく小作料の最高額の基準額の定めと憲法二九条 二、農地法二一条、二二条、二三条の趣旨 三、農地法二一条、二二条と憲法二九条
農地法施行規則14条ノ2,農地法21条,農地法22条,農地法25条,憲法29条
判旨
農地法が小作料について現物納を禁止して定額金納制を強制し、その最高額を統制する規定は、憲法29条1項の財産権を侵害するものではなく合憲である。
問題の所在(論点)
農地法21条ないし23条が小作料を定額金納制に限定し、その最高額を統制していることは、憲法29条1項の保障する財産権を侵害し違憲か。
規範
財産権の内容を法律で制限することは、公共の福祉に適合する限り認められる。農地法による小作料の定額金納制および最高額統制は、小作人の地位向上や農業生産力の維持・発展という公共の利益を目的とするものであり、その制限が合理的な範囲内にある限り、憲法29条に違反しない。
重要事実
上告人は、農地法21条、22条、23条が小作料について現物納・代金納を禁止し、定額金納制を強制した上でその額を統制していること、および同法施行規則14条の2が定める最高額の基準が不当であると主張した。これらが憲法29条1項が保障する財産権を侵害し違憲であるとして争われた事案である。
事件番号: 昭和40(オ)404 / 裁判年月日: 昭和43年4月23日 / 結論: 棄却
農地調整法第九条の二および同法施行令第一二条に基づく昭和二一年農林省告示第一四号は、憲法第二九条に違反しない。
あてはめ
農地法が小作料の物納を排し定額金納制を一本化したのは、小作人の負担を安定させ、農業経営の合理化を図るという公共の福祉に基づく目的がある。また、同法および施行規則に基づく小作料の最高額制限についても、当時の経済状況や農村の自立支援という政策目的に照らし、財産権に対する必要かつ合理的な制限の範囲内にあると認められる。したがって、私的自治の原則や財産権の自由な行使を一定程度制限するものであっても、公共の福祉による正当な制約として許容される。
結論
農地法21条、22条、23条および農地法施行規則14条の2の規定は、憲法29条に違反しない。
実務上の射程
財産権の制限が公共の福祉に基づく合理的なものであるかを判断した判例である。農地法のような社会経済政策的な法規制については立法府の裁量が広く認められる傾向にあり、本判決はその流れを汲むものである。答案上は、財産権の制限が「目的の正当性」と「手段の合理性」を備えているかを論じる際の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和25(オ)42 / 裁判年月日: 昭和29年2月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】農地改革における買収対価が憲法29条3項の「正当な補償」にあたるか否かが争われ、先行の大法廷判決を維持して合憲と判断された。 第1 事案の概要:戦後の農地改革を推進するために制定された自作農創設特別措置法に基づき、政府が地主の所有する農地を強制的に買収した。上告人(地主側)は、同法6条3項に定める…
事件番号: 昭和29(オ)232 / 裁判年月日: 昭和35年6月15日 / 結論: その他
罹災都市借地借家臨時処理法第二条、第三条は憲法第二九条に違反しない。