親権者と子の利益相反行為につき親権者が法定代理人としてなした行為は民法一三二条所定の無権代理行為にあたる。
親権者と子の利益相反行為につき親権者が法定代理人としてなした行為の効力
民法115条
判旨
親権者が民法826条の規定に違反して行った利益相反行為は、無権代理行為として扱われ、本人(子)がこれを追認することにより、遡って有効となる。
問題の所在(論点)
親権者が民法826条に違反して行った利益相反行為の私法上の効力、および、当該行為が民法113条以下の無権代理に関する規定の適用を受けるか(追認が可能か)。
規範
親権者が民法826条に違反し、親権者と子との利益相反行為を特別代理人の選任を経ずに行った場合、その行為は民法113条所定の無権代理行為にあたる。したがって、本人(子)がこれを追認したときは、民法116条により、その行為は成立の時に遡って効力を生じる。
重要事実
親権者である上告人A2が、本件土地の売買予約を法定代理人として行ったが、これが親権者と子の間の利益相反行為(民法826条)に該当するものであった。その後、本件土地の共有持分を有する本人(上告人A1、訴外D、E、F)らは、当該売買予約に関する訴訟の係属中に、相手方である被上告人またはその代理人に対し、当該無権代理行為を追認する旨の意思表示を行った。
事件番号: 昭和43(オ)1309 / 裁判年月日: 昭和45年3月17日 / 結論: 棄却
建物収去土地明渡の判決においては、土地の地積および建物の床面積を、計量法所定の計量単位によらないで、尺貫法による計量単位によつて表示しても違法ではない。
あてはめ
本件におけるA2の行為は、子との利益相反行為でありながら特別代理人の選任を欠くため、無権代理行為となる。もっとも、本件土地の共有持分を持つ本人らは、訴訟手続において、相手方に対し当該行為を追認する旨を明らかにしている。これにより、無権代理行為としての瑕疵は治癒され、売買予約は成立時に遡って有効に本人らに帰属することとなる。
結論
親権者の利益相反行為は無権代理行為であり、本人の追認により有効となる。したがって、追認があった本件では、売買予約の効力を本人らに主張できる。
実務上の射程
利益相反行為の効力が「無効」ではなく「無権代理」であることを明示した判例である。答案上では、826条違反の行為を論じる際、当然に無効とするのではなく、113条を類推適用(または直接適用)して無権代理として構成し、追認の可否を検討する際の下敷きとして用いる。
事件番号: 昭和56(オ)586 / 裁判年月日: 昭和57年11月18日 / 結論: 破棄差戻
民法八二六条一項の規定に基づいて選任された特別代理人と未成年者との利益が相反する行為については、右特別代理人は、選任の審判によつて付与された権限を行使することができない。
事件番号: 昭和30(オ)923 / 裁判年月日: 昭和32年8月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不動産の賃借人は、その賃借権を保全する必要があるときは、民法423条の債権者代位権に基づき、所有者である賃貸人の有する妨害排除請求権としての明渡請求権を代位行使することができる。また、親権者が子を代理してその所有地の明渡請求を代位行使することは、利益相反行為(民法826条)には当たらない。 第1 …
事件番号: 昭和46(オ)474 / 裁判年月日: 昭和47年9月1日 / 結論: 破棄差戻
一、権限のある代理人は、上告審において、上告審および控訴審における無権代理人の訴訟行為を追認することができる。 二、家庭裁判所が選任した不在者財産管理人は、民法二八条所定の家庭裁判所の許可を得ることなしに、不在者を被告とする建物収去土地明渡請求を認容した第一審判決に対し控訴を提起し、その控訴を不適法として却下した第二審…
事件番号: 昭和35(オ)347 / 裁判年月日: 昭和38年7月25日 / 結論: 棄却
代理権消滅の事実を相手方の代理人が知つていた場合には、民法第一一二条による表見代理は成立しない。