一、第一審において仮執行宣言の申立が却下された場合には、附帯控訴により不服の申立をなすことを妨げない。 二、右附帯控訴にもかかわらず、控訴裁判所において仮執行の宣言が相当でないと判断するときは、その旨を判決の理由中において説示すれば足り、判決の主文において附帯控訴を棄却する旨を宣言する要はない。
一、仮執行宣言の申立が却下された場合と不服申立の方法 二、右不服申立に対する裁判
民訴法196条,民訴法372条
判旨
土地明渡を命ずる確定判決が存在する場合に、その敷地上の建物収去のみを求める訴えは適法であり、また仮執行宣言の申立てを却下する附帯控訴に対し、控訴裁判所が仮執行を不相当と判断したときは判決理由中の説示で足り、主文で棄却を宣言する必要はない。
問題の所在(論点)
1. 土地明渡の確定判決が存在する場合に、建物収去のみを求める訴えを提起することの可否。2. 仮執行宣言の申立て却下に対する附帯控訴がなされた場合、控訴裁判所がこれを不当と認めて退ける際に、主文での棄却宣言を要するか。
規範
1. 土地明渡を命ずる確定判決が既に存在する場合であっても、その実効性を確保するため、別途、建物収去を求める訴えを提起することは許容される。2. 第一審における仮執行宣言の申立て却下に対し、附帯控訴により不服を申し立てた場合、控訴裁判所が仮執行を不相当と判断したときは、判決理由中でその旨を説示すれば足り、判決主文において附帯控訴を棄却する旨を明示する必要はない。
重要事実
被上告人(原告)は、上告人(被告)に対し、本件建物の敷地である本件土地を明け渡すべきことを命じた別件の確定判決を得ていた。その上で、被上告人は改めて本件建物の収去を求める訴えを提起した。第一審において仮執行宣言の申立てが却下されたため、被上告人は附帯控訴をもって不服を申し立てたが、控訴審(原審)は理由中で仮執行を不相当と判断しつつ、主文では附帯控訴の棄却を宣言しなかった。上告人は、既に土地明渡の確定判決があるのに建物収去を命じた点、および附帯控訴に対する主文の欠如を違法として上告した。
あてはめ
1. 本件土地の明渡しを命ずる確定判決が存在する状況下において、その義務内容に含まれる建物収去のみを個別に求める請求を認容することは、既判力や執行力の関係から妨げられず、正当である。2. 附帯控訴による仮執行宣言の申立てについては、控訴裁判所がその相当性を否定した場合、判決理由において不相当である旨の判断を示せば、申立てに対する応答として十分である。主文において独立した棄却の表示を欠いても、手続上の違法は存しない。
結論
1. 土地明渡の確定判決があっても、建物収去を求める請求は認められる。2. 仮執行宣言を求める附帯控訴を退ける際、主文での棄却宣言は不要である。
実務上の射程
建物収去土地明渡請求において、執行の便宜等の理由から一部の請求(収去のみ)を後から行う際の適法性を裏付ける。また、仮執行宣言に関する裁判の形式的な主文構成に関する実務上の指針となる。
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