一、二審判決の基礎となつた専用実施権の前提である特許権につき無効審決が確定したときは、これを上告理由とすることができる。 二、省略(判文参照)
一、特許の無効審決と上告理由 二、上告審において民訴法第一九八条二項に基づき給付金の返還および損害の賠償を命じた事例
民訴法420条1項8号,民訴法198条2項,特許法77条,特許法102条,特許法125条
判旨
特許無効審決が確定したときは、特許権は当初から存在しなかったものとみなされるため、当該特許権に基づく専用実施権も遡及的に消滅し、これを利用した侵害差止や損害賠償の請求は認められない。
問題の所在(論点)
訴訟の前提となっている特許権について、事後的に無効審決が確定した場合、その特許権に基づく専用実施権の効力および既に行われた請求の正当性はどのように解されるべきか。
規範
特許を無効とする審決が確定したときは、特許権は初めから存在しなかったものとみなされる。これに伴い、当該特許権を目的として設定された専用実施権もその当初から効力を有しない。したがって、有効な特許権および専用実施権の存在を前提とする差止・損害賠償請求は、権利の不存在により失当となる。
重要事実
被上告人(原告)は、訴外Dが保有する特許権の専用実施権者として、上告人(被告)に対し、特許権侵害を理由とする差止および損害賠償を求めて提訴した。原審は特許権の存在を前提に被上告人の請求を一部認容した。しかし、上告審継続中に、当該特許権を無効とする審決が下され、その後確定して特許登録が抹消された。
あてはめ
本件では、昭和45年6月1日に特許無効審決が確定し、特許登録が抹消されている。特許法上の遡及効により、本件特許権は初めから存在しなかったものとみなされる。これに従えば、当該特許権に依拠する被上告人の専用実施権も、その設定当初から効力がなかったといえる。そうである以上、本件訴訟において被上告人が主張する権利の侵害という前提事実自体が失われており、差止および損害賠償請求は法的な根拠を欠くに至ったと評価される。
結論
特許権の無効確定により、専用実施権に基づく被上告人の請求はすべて失当である。したがって、原判決の敗訴部分を破棄し、上告人の請求に基づき、仮執行宣言に基づき支払われた金員の返還を命ずる。
実務上の射程
特許無効の遡及効(特許法125条等)を確認した典型例である。実務上は、訴訟継続中に無効審決が確定した場合、権利行使の前提を欠くことになるため、請求棄却を導く決定的な抗弁事由として活用される。また、仮執行による給付金の原状回復請求(民訴法260条2項)の根拠としても重要である。
事件番号: 平成16(受)997 / 裁判年月日: 平成17年6月17日 / 結論: 棄却
特許権者は,その特許権について専用実施権を設定したときであっても,当該特許権に基づく差止請求権を行使することができる
事件番号: 昭和40(行ツ)60 / 裁判年月日: 昭和43年11月5日 / 結論: 棄却
旧商標法(大正一〇年法律第九九号)第一二条第一項にいう商標権をその営業とともに移転するとは、商標権の譲渡人が従来その商標を使用した指定商品の営業において以後これを使用せず、譲受人がその商標を使用して譲渡人と同様の指定商品の営業をなしうる状態を現出すれば足り、その譲渡される商標権とともにこれを行使していた範囲の営業がこと…