原裁判所の決定によつて上告却下ができる旨規定した民訴法第三九九条は、違憲ではない。
民訴法第三九九条の合憲性。
民訴法399条,憲法81条
判旨
憲法81条は、最高裁判所が違憲審査権を有する終審裁判所であることを定めるにとどまり、審級制度の具体的内容は立法府の裁量に委ねられる。したがって、原審裁判所が上告を却下する旨を定める規定は憲法に反しない。
問題の所在(論点)
原審裁判所に上告却下の権限を認める規定(旧民訴法399条)が、最高裁判所を「終審裁判所」とする憲法81条に違反しないか。
規範
憲法81条は、最高裁判所が法律等の憲法適合性を決定する権限を有する終審裁判所であることを規定するにとどまる。それ以外の審級制度をいかに構成すべきかについては憲法上の明文の規定がなく、立法政策によって適宜これを定め得ると解される。
重要事実
抗告人が最高裁判所に対して上告を申し立てたところ、原審である高松高等裁判所が、当時の民事訴訟法399条に基づき上告却下の決定を行った。これに対し抗告人は、最高裁判所ではなく原審が却下決定を行うことは憲法81条に違反するものであると主張して、抗告を申し立てた。
あてはめ
事件番号: 平成11(許)8 / 裁判年月日: 平成11年3月9日 / 結論: その他
民訴法三一八条一項の事件に当たらないことを理由として、原裁判所は、同条五項、同法三一六条一項により上告受理の申立てを却下することができない。
憲法81条は、司法審査の最終的な権限が最高裁判所に属することを確認した規定であり、裁判の審級構成自体を固定するものではない。審級制度の詳細は立法裁量の範囲内にあるところ、民事訴訟法が裁判の迅速化等の観点から原審裁判所に一定の形式的審査を行わせることは、最高裁判所の終審裁判所としての地位を否定するものではない。よって、原審が上告を却下する仕組みは同条に抵触しないと評価される。
結論
民訴法(旧法399条)の規定は憲法81条に違反せず、原審が行った上告却下の決定は適憲であるため、本件抗告を棄却する。
実務上の射程
憲法81条の「終審裁判所」の意義が、具体的な審級構造までを拘束するものではないことを示す射程の広い判例である。民事訴訟における上告提起の適法性審査(民訴法316条等)や、刑事訴訟における上告棄却決定などの合憲性を支える基礎的な理論として位置づけられる。
事件番号: 昭和31(ク)28 / 裁判年月日: 昭和31年3月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告において、憲法違反を理由としない不適法な申立てに対し、原裁判所が却下決定を行うことは憲法32条に違反せず、民事訴訟法の規定に照らし適法である。 第1 事案の概要:抗告人は、原裁判所が昭和30年7月5日に行った決定に対し、最高裁判所へ抗告を申し立てた。しかし、当該抗告の理由は憲…
事件番号: 昭和29(ク)4 / 裁判年月日: 昭和29年3月15日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する特別抗告(民訴法336条、旧419条の2)が適法となるためには、原決定に憲法違反があることを具体的に主張する必要があり、実質的な訴訟法違反や事実誤認の主張は適法な抗告理由とならない。 第1 事案の概要:抗告人は、原決定(原判決を維持したもの)に対し、最高裁判所へ抗告を申し立てた。…
事件番号: 昭和29(ヤ)3 / 裁判年月日: 昭和29年3月24日 / 結論: 却下
最高裁判所がなした上告棄却の判決に対する異議却下決定に対してなされた特別抗告につき、最高裁判所のなした却下決定に対しては再審の申立は許されない。
事件番号: 昭和31(ク)314 / 裁判年月日: 昭和31年12月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法は、最高裁判所が終審裁判所であることを定める81条の場合を除き、審級制度の詳細については立法府の裁量に委ねている。したがって、特定の裁判手続において不服申立てを認めない法律の規定があったとしても、直ちに違憲とはならない。 第1 事案の概要:抗告人は、高等裁判所が行った本件執行処分取消申請を却下…