地上建物が自己の所有と主張し、かつ該土地に賃借権を有すると主張している場合は、土地の占有権をも主張しているものと解するのが相当である。
土地占有権の主張があると認められた事例。
民訴法186条
判旨
建物所有者はその敷地である土地を占有しているといえるから、当該土地に対する仮処分の執行により占有権を侵害される場合には、第三者異議の訴え等により執行の取消しを求めることができる。
問題の所在(論点)
第三者を債務者とする土地の仮処分執行に対し、当該土地上の建物所有者が「占有権」を異議事由として、民事執行法38条(旧民訴法549条)の第三者異議の訴えに準じる手続き等で執行の取消しをなしうるか。
規範
建物を建築し所有権を有する者は、その敷地である土地についても当然に占有権を有する。また、明示的に「占有権」という用語を用いて異議を主張していなくとも、建物所有権や土地賃借権の主張が含まれていれば、実質的に土地占有権を異議事由として主張しているものと解するのが相当である。かかる占有権を侵害する仮処分の執行は許されない。
重要事実
被上告人は、訴外DおよびEを被申請人として本件土地に対する仮処分決定を得て、執行吏に当該土地を保管させる執行を行った。これに対し、本件建物を建築し所有する上告人が、自己に建物所有権および土地賃借権があることを理由に、当該仮処分執行の取消しを求めて異議を申し立てた事案である。
あてはめ
上告人は本件建物を建築して所有権を有していることから、その敷地である土地の占有権も上告人に帰属する。上告人は「土地占有権」という語を明示していないが、建物所有権および土地賃借権を主張している以上、土地占有権を異議事由として主張していると評価できる。したがって、執行吏に土地を保管させる仮処分の執行は上告人の占有権を侵害するものであり、違法といえる。
結論
上告人の占有権を侵害する範囲において、本件土地に対する仮処分の執行は取り消されるべきである。
実務上の射程
建物所有による土地占有の法理を確認した事例。第三者異議の訴え等において、建物所有という事実関係から土地占有権の帰属を導き、執行を阻止する際の基礎となる。また、当事者の主張を柔軟に解釈し、実質的な権利保護を図る実務上の指針となる。
事件番号: 昭和38(オ)50 / 裁判年月日: 昭和41年2月1日 / 結論: 棄却
執行債務者の住所における動産仮差押の執行に際し、第三者が執行債権者に対して、自己の占有し、かつ、執行債権者もその所在を知つていなかつた動産を執行債務者の所有に属するものと主張し、執行債権者をその所在場所に案内のうえ任意に提供して仮差押手続をなすことを積極的に容認し、これによつて、執行債権者をして右物件が執行債務者の所有…