民法第一〇〇条但書、商法第五〇四条の適用を主張する当事者は、その要件事実につき主張責任がある。
民法第一〇〇条但書、商法第五〇四条の主張責任。
民訴法186条,民法100条但書,商法504条
判旨
土地所有者がその地上に他人が建物を所有することを承諾した場合であっても、特段の事情がない限り、その敷地の利用権原は使用貸借関係にとどまり、建物所有目的の終了によって消滅する。
問題の所在(論点)
土地所有者が他人の建物所有を承諾した場合の敷地利用権原は何か。また、その利用権原が使用貸借である場合、どのような事由で終了するか(論点:敷地利用権原の性質と終了事由)。
規範
土地所有者が他人の建物建築を承諾した場合において、その敷地利用権原の種類は当事者の意思表示の解釈によるが、対価の支払いや存続期間の合意等の特段の事情がない限り、民法593条の使用貸借と解するのが相当である。また、借主による当該地の使用が終了したと認められるときは、使用貸借は終了する。
重要事実
土地所有者である被上告人は、訴外Dから本件宅地を買い受け、その地上に住宅および店舗を建築した。その後、被上告人とC(補助参加人)との別件訴訟の結果、建物の一部である店舗部分の所有権がCに属する旨の判決が確定し、C名義で登記された。被上告人は、C名義の建物が本件地上に存在することを承諾していたが、後にCによる本件宅地の使用が終了するに至った。
事件番号: 昭和34(オ)444 / 裁判年月日: 昭和36年12月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不動産の競売において、他人の依頼を受けて名義人となり競落した場合であっても、内部関係において所有権を依頼者に移転する合意があれば、依頼者が実質的な所有権を取得する。その後、当該物件の譲受人が従前の賃貸借契約を承継することに合意した場合には、譲受人は賃借人に対して明渡請求をなし得ない。 第1 事案の…
あてはめ
被上告人がC名義の建物の存在を承諾した事実は認められるが、賃料の支払い等の賃貸借関係を推認させる事実は認められない。したがって、両者間の法律関係は「せいぜい使用貸借の関係」に過ぎない。そして、Cによる本件宅地の使用が事実上終了したと認められる以上、借用の目的を達したものとして、使用貸借関係も終了したと判断される。
結論
敷地利用権原は使用貸借であり、使用終了に伴い消滅した。したがって、土地所有者による権利主張は正当であり、不法占拠等の抗弁は認められない。
実務上の射程
親族間や知人間での建物所有を目的とした土地利用において、明示的な賃貸借契約がない場合のデフォルトの法的主張として活用できる。答案上は、建物譲渡後の敷地利用権原が争点となる場面で、賃貸借か使用貸借かの振り分けを行う際の規範として機能する。
事件番号: 昭和34(オ)950 / 裁判年月日: 昭和37年7月19日 / 結論: 棄却
堅固の建物以外の建物の所有を目的とし、期間を二〇年とする借地権は、右期間満了前は、地上建物が朽廃しても消滅しない。
事件番号: 昭和39(オ)24 / 裁判年月日: 昭和40年2月12日 / 結論: 棄却
土地賃貸人において、転借人に対し後日直接賃貸借契約をしてよい意向を示し、それまでの間は転借について暗黙の承諾をしたと見られるような態度をとり、転借人としては、賃貸人の指図に従い、同人の転貸人に対する賃貸借消滅による建物収去土地明渡請求訴訟に協力する態度をとり、賃貸人が勝訴すれば自ら賃借できると考え、同人から明渡を請求さ…
事件番号: 昭和32(オ)569 / 裁判年月日: 昭和34年5月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】借地法(現行の借地借家法25条相当)にいう「建物所有を目的とする賃貸借」に該当しないか、あるいは「一時使用のための借地権」と認められる場合には、存続期間に関する法定の制限を受けず、約定期間の満了により賃貸借が終了する。 第1 事案の概要:本件賃貸借契約において、当事者は約定の期間満了による契約終了…
事件番号: 昭和33(オ)279 / 裁判年月日: 昭和33年7月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不動産の明渡請求が権利の濫用(民法1条3項)に当たるか否かは、当該請求を認めることが社会通念上著しく正当性を欠くといえるか等の事実関係を総合考慮して判断すべきである。 第1 事案の概要:上告人(被告)に対し、被上告人(原告)が本件建物の明渡しを求めた事案である。原審において認定された事実関係の詳細…