漁業協同組合の定款に漁業法第八条による組合員の漁業権行使に関する定めがないときでも、組合の割当区域外で漁業を行なつた組合員を組合の事業を妨げる行為および組合の信用を失わせる行為をなしたものとして除名することは差し支えない。
漁業協同組合の定款に漁業法第八条による組合員の漁業権行使に関する定めがないのに組合の割当区域外で漁業を行なつた組合員を除名することの当否。
漁業法8条,水産業協同組合法27条
判旨
組合の免許区域外等に海苔の建込を行い、組合からの撤去要請に応じない行為は、組合の事業を妨げ、その信用を失わせる行為として、定款に基づく除名事由に該当する。
問題の所在(論点)
組合員が組合の割当区域外および免許区域外に漁業施設を設置し、組合の撤去要請を拒絶する行為が、定款上の除名事由(事業妨害・信用毀損)に該当するか。また、定款に明文の定めがない状態で行われた区域割当に基づく撤去要請が「事業の執行」といえるか。
規範
組合員が組合の指定した区域外や組合の免許区域外に施設を設置し、行政当局からの通知に基づく組合の撤去要請に拒絶し続けることは、「組合の事業を妨げる行為」および「組合の信用を失わせる行為」という除名事由(水産業協同組合法22条1項、定款の定め)を構成する。また、定款に明文がない場合であっても、組合員に対する操業区域の割当が特定の者に不利益でない限り、それは組合の適法な事業の執行に含まれる。
重要事実
漁業協同組合の組合員である原告は、組合から割り当てられた海苔建込区域の外、および組合が免許を受けていない区域にわたって数次にわたり海苔の建込(施設の設置)を行った。神奈川県からこれについて通知を受けた組合は、原告に対し免許区域外に設置した施設の撤去を求めたが、原告はこれに応じなかった。組合は、原告の行為が定款に定める除名事由(事業妨害、信用毀損)に該当するとして除名処分を行ったところ、原告は区域割当の根拠がないこと等を理由にその効力を争った。
事件番号: 昭和47(オ)17 / 裁判年月日: 昭和47年3月30日 / 結論: 棄却
水産業協同組合法による協同組合の総会の議決が当然に無効である場合においては、同法一二五条所定の行政庁に対する取消の手続を経ることなしに、各組合員は、直接裁判所に対し、その無効を前提として権利関係の確認を求めうるものと解すべきである。
あてはめ
原告は、組合が割り当てた区域のみならず、組合の免許区域外という公的な規制が及ぶ場所にまで海苔の建込を行っており、これは漁場管理を行う組合の秩序を乱すものである。行政(県)からの指摘を受けてなされた組合の撤去要請に「頑として応じなかった」事実は、組合の対外的な信用を著しく毀損し、適正な漁業権の運用という組合事業の遂行を直接的に妨げるものといえる。また、定款に割当の具体的規定がなくとも、当該割当が特定の組合員に不当な不利益を課すものでない限り、組合の円滑な運営のための業務執行の範囲内であり、これに背く行為は正当化されない。
結論
原告の行為は組合の事業妨害および信用毀損にあたり、定款所定の除名事由に該当するため、本件除名処分は有効である。
実務上の射程
組合員の除名(水協法22条、中協法19条、農協法21条等)における「事業を妨げる行為」等の抽象的要件を具体化する際に活用できる。特に行政指導の原因となるような違法な施設設置や、組合の正当な指導・勧告に対する継続的な拒絶が、除名に値する重大な義務違反となり得ることを示す射程を持つ。
事件番号: 昭和40(オ)823 / 裁判年月日: 昭和44年5月2日 / 結論: 棄却
労働組合の推薦する特定候補以外の立候補者を支持する組合員の政治活動(選挙運動)を一般的・包括的に制限禁止し、これに違反する行動を行なつた組合員は統制違反として処分されるべき旨を決議した組合大会決議は、労働組合の統制権の限界を超えるものとして無効である。(福岡高裁昭和三九年(ネ)第三二八号同四〇年四月二二日判決、高民集一…
事件番号: 昭和39(行ツ)64 / 裁判年月日: 昭和40年12月10日 / 結論: 棄却
公務員を分限免職にするかどうかは、行政庁の自由裁量に属する。
事件番号: 昭和26(オ)104 / 裁判年月日: 昭和29年1月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】地方議会議員の除名議決無効確認の訴えは、議員の資格を有することの確認を求めるものである。そのため、除名議決時の議員が全員その資格を失った場合には、もはや訴えの利益が認められない。 第1 事案の概要:上告人は町議会議員の除名議決の無効確認を求めて出訴した。しかし、当該訴訟の継続中に、本件除名の議決当…
事件番号: 昭和30(オ)430 / 裁判年月日: 昭和35年3月9日 / 結論: その他
地方公共団体の議会議員の任期が満了したときは、除名処分の取消を求める訴の利益は失われる。