水産業協同組合法による協同組合の総会の議決が当然に無効である場合においては、同法一二五条所定の行政庁に対する取消の手続を経ることなしに、各組合員は、直接裁判所に対し、その無効を前提として権利関係の確認を求めうるものと解すべきである。
水産業協同組合法による協同組合の総会の決議が当然無効である場合と同法一二五条
水産業協同組合法125条,民訴法225条
判旨
水産業協同組合法上の総会議決が当然に無効である場合、行政庁への取消手続を経ずとも裁判所に対し無効を前提とした権利関係の確認を求めることができ、定款上の除名事由がない除名議決は当然に無効となる。
問題の所在(論点)
水産業協同組合法に基づく行政庁への取消手続を経ずに、総会議決の無効を前提とした組合員地位確認の訴えを提起できるか。また、定款所定の事由がないにもかかわらずなされた除名議決の効力はどうなるか。
規範
1. 協同組合の総会議決が当然に無効である場合には、行政庁に対する取消手続(水産業協同組合法125条)を経ることなく、直接裁判所に対してその無効を前提とする権利関係の確認を求めることが可能である。2. 定款に定める除名事由が存在しないにもかかわらずなされた組合員の除名議決は、実体上の要件を欠くため、当然に無効となる。
重要事実
上告人(水産業協同組合)は、総会の議決により組合員である被上告人を除名した。しかし、被上告人には当該組合の定款に定める除名事由が存していなかった。被上告人は、行政庁に対する取消手続等を経ることなく、直接裁判所に対して組合員たる地位の確認を求めて提訴した。
事件番号: 昭和39(オ)1264 / 裁判年月日: 昭和40年4月30日 / 結論: 棄却
漁業協同組合の定款に漁業法第八条による組合員の漁業権行使に関する定めがないときでも、組合の割当区域外で漁業を行なつた組合員を組合の事業を妨げる行為および組合の信用を失わせる行為をなしたものとして除名することは差し支えない。
あてはめ
本件における除名議決は、定款に定める除名事由が存しないにもかかわらず行われたものである。かかる議決は、除名という組合員にとって重大な利益を奪う処分において必要な実体的要件を欠いているといえる。したがって、当該議決は当然に無効であると解される。また、このように議決が当然に無効である場合には、法が定める行政庁の取消手続は前置されるべき性質のものではなく、被上告人は直接裁判所に救済を求めることができると解するのが相当である。
結論
被上告人に対する除名議決は無効であり、被上告人が組合員たる地位を有することの確認を求める請求は認められる。
実務上の射程
社団法人や組合における除名処分の効力を争う際、処分の根拠となる実体法的要件(定款所定の事由)の欠如が議決の当然無効事由となることを示した。行政庁による監督手続が法定されている場合でも、当然無効な議決については直接訴訟で争えるという民事訴訟上の選択肢を認めた点で実務上重要である。
事件番号: 昭和44(オ)41 / 裁判年月日: 昭和46年12月17日 / 結論: 棄却
消費生活協同組合法による協同組合の総会の議決または選挙が当然に無効であるかまたは不存在である場合においては、同法九六条所定の行政庁による取消の手続を経ていないでも、裁判所は、訴訟における前提問題として、右議決または選挙の無効または不存在の判断をすることができる。
事件番号: 昭和40(オ)823 / 裁判年月日: 昭和44年5月2日 / 結論: 棄却
労働組合の推薦する特定候補以外の立候補者を支持する組合員の政治活動(選挙運動)を一般的・包括的に制限禁止し、これに違反する行動を行なつた組合員は統制違反として処分されるべき旨を決議した組合大会決議は、労働組合の統制権の限界を超えるものとして無効である。(福岡高裁昭和三九年(ネ)第三二八号同四〇年四月二二日判決、高民集一…
事件番号: 平成14(受)973 / 裁判年月日: 平成16年10月26日 / 結論: その他
信用金庫の理事を信用金庫法38条所定の手続によることなく解任することはできない。