ただ、相上告人の上告理由中利益なものを援用すると主張する上告理由の記載は、具体性を欠き法定の方式をそなえるものとは認められない。
相上告人の上告理由中利益なものを援用するとの記載は上告理由の具体性をそなえるか。
民訴法398条2項,民訴規則49条
判旨
賃貸借契約の解除につき、事前の催告を欠く口頭弁論期日での解除の意思表示であっても、それ以前に相当期間を定めた催告がなされ、かつ履行がなかった事実が認められる場合には、当該解除は有効である。
問題の所在(論点)
口頭弁論期日においてなされた賃貸借契約の解除の意思表示が、事前の催告を欠くとして無効となるか。民法541条の催告要件の充足性が問題となる。
規範
民法541条に基づく履行遅滞による契約解除が認められるためには、相当期間を定めた催告と、当該期間内の不履行が必要である。もっとも、解除の意思表示がなされた時点において、既に相当期間を定めた催告がなされており、かつ債務者が履行の提供をしていない場合には、特段の事情がない限り、解除の効力を妨げるものではない。
重要事実
賃貸人先代Dは、賃借人Eに対し、本件土地の延滞賃料についてしばしば相当期間をもって支払いを催告していたが、Eはこれに従わず履行しなかった。その後、第一審の口頭弁論期日において、D側はE(および転借人等)に対し、賃料債務不履行を原因とする契約解除の意思表示を行った。これに対し上告人側は、当該口頭弁論期日における解除の意思表示に先立ち、一定期間を定める催告がなされていないため解除は無効であり、建物買取請求権等の行使が認められるべきであると主張した。
事件番号: 昭和33(オ)657 / 裁判年月日: 昭和36年7月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】賃料の支払催告において、催告額が正当な額を超過していても、債権者に正当額の提供では受領しない意思が明確でない限り、正当額の限度で催告は有効である。 第1 事案の概要:賃貸人(被上告人)が賃借人(上告人)に対し、約1年分の延滞賃料として2万377円の支払を3日以内に催告した。しかし、当時の賃料統制額…
あてはめ
本件では、賃料の支払期限が毎年1月および6月と定められていた中で、賃貸人が「しばしば」相当期間を定めた催告を行っていた事実が認定されている。これに対し賃借人が履行を怠っていた以上、催告による履行の機会は十分に与えられていたといえる。したがって、その後の口頭弁論期日における解除の意思表示は、先行する適法な催告に基づく解除権の行使として、有効なものと解される。
結論
本件賃貸借契約の解除は有効であり、有効な解除を前提として買取請求権等の行使を否定した原審の判断は妥当である。上告棄却。
実務上の射程
訴状や準備書面での解除意思表示の有効性が争われる際、先行する事実上の催告の有無を確認する枠組みとして活用できる。ただし、本判決は既に十分な催告がなされていた事実を前提としているため、全く催告がないまま訴訟上での解除のみを行う場合にまで解除を認める趣旨ではない点に注意が必要である。
事件番号: 昭和40(オ)1137 / 裁判年月日: 昭和41年3月31日 / 結論: 棄却
土地賃借人が賃料の支払を遅滞したときは土地賃貸人は催告を要せず、土地賃貸借契約を解除できる旨の特約は、借地法第一一条にいわゆる借地権者に不利な条件にはあたらない。
事件番号: 昭和47(オ)1219 / 裁判年月日: 昭和48年4月19日 / 結論: 棄却
民法五四一条の催告には、履行がないときは契約を解除する旨を附言する必要はない。
事件番号: 昭和31(オ)258 / 裁判年月日: 昭和32年11月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】催告期間内に「本旨に従う履行の提供」がなされない限り、解除権の発生を妨げることはできず、期間経過後の履行提供は解除の効力を左右しない。また、特段の事情がない限り、有効な催告に基づく解除権の行使は権利の濫用には当たらない。 第1 事案の概要:上告人は債務の履行を怠り、被上告人から相当期間を定めた催告…
事件番号: 昭和37(オ)601 / 裁判年月日: 昭和39年6月4日 / 結論: 棄却
土地賃借人が賃貸人の申し入れた地代値上の交渉をことさらに回避し、かつ、地下室の建設を禁ずる旨の約定があったのにこれを無視して地下室建設工事に着手し、賃貸人において工事中止もしくは原状回復の催告をしたとしても賃借人がこれに応じたとは到底認め得ないような事情(原判決理由参照)があるときは、賃貸人は、賃借人に著しい不信行為が…