忌避申立を受けた裁判官が右申立についての裁判確定前になした判決は、その後右申立が理由なしとして排斥され、その裁判が確定するときは、有効となるものと解するのを相当とする。(昭和二九年一〇月二六日第三小法廷判決、民集八巻一〇号一九七九頁と同旨)。
忌避申立を受けた裁判官が右申立についての裁判確定前になした判決の効力。
民訴法42条
判旨
忌避申立てを受けた裁判官が、申立てについての裁判確定前に判決をなした場合であっても、後に当該申立てを却下する裁判が確定したときは、当該判決は有効となる。
問題の所在(論点)
裁判官に対する忌避申立てについての裁判が確定する前に、当該裁判官が関与してなされた判決の効力(民事訴訟法26条違反の帰結)。
規範
裁判官について忌避の申立てがあったときは、原則として訴訟手続を停止しなければならない(民事訴訟法26条、旧42条)。しかし、停止に反してなされた裁判であっても、その後に忌避申立てを理由なしとして排斥する裁判が確定した場合には、当初の訴訟手続の停止義務違反の瑕疵は治癒され、当該判決は有効となる。
重要事実
上告人は、裁判官に対する忌避申立ての裁判が確定していないにもかかわらず、原審が本件判決を言い渡したことは、訴訟手続の停止義務を定めた民事訴訟法(旧法42条)に違反すると主張して上告した。なお、当該忌避申立てについては、最高裁判所において特別抗告が却下され、申立てを理由なしとする裁判が既に確定していた。
あてはめ
本件において、原審が判決を言い渡した時点では忌避申立ての裁判は確定していなかった。しかし、その後に当該忌避申立てを理由なしとして排斥する裁判が確定している。このような場合、仮に手続停止義務に抵触する状態で判決がなされたとしても、忌避事由がないことが確定した以上、当該判決を無効とする理由は失われる。したがって、手続上の瑕疵は解消され、判決は有効と解される。
結論
忌避申立てを理由なしとする裁判が確定したときは、それ以前になされた判決は有効であり、民訴法違反の上告理由は認められない。
実務上の射程
手続停止義務違反(26条)の瑕疵の治癒を認めた重要判例である。答案上は、忌避申立て中の訴訟行為の効力が問われた際、後に申立てが却下された事実があれば、本判例を根拠に「有効」と結論付けるための論拠として使用する。ただし、忌避申立てが理由ありとされた場合には、当然に判決は無効(絶対的上告理由・再審事由)となる点に留意が必要である。
事件番号: 昭和34(オ)825 / 裁判年月日: 昭和35年11月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判所が訴訟手続の中止を決定した後、中止の理由となった事由が解消した場合には、当事者の申立てに基づき速やかに期日を指定すべきであり、適切な手続経過を辿っている限り憲法等に違反する違法はない。 第1 事案の概要:控訴申立後、控訴人代理人が簡易裁判所への調停申立を理由に訴訟手続中止申請を行い、裁判所は…