一 民事訴訟事件において、前提問題として親子関係の存否につき、人事訴訟事件の判決をまたずして、審理判断をなしうる。 二 右の場合、親子関係の存否の認定は、通常の民事訴訟手続で行なわれるべきであつて、人事訴訟法によるべきではない。
一 民事訴訟事件で親子関係の存否を判断することの可否。 二 右の場合に適用すべき訴訟法規。
人訴法第2章
判旨
親子関係の存否を前提とする財産関係の訴訟は、通常の民事訴訟事件として処理されるべきであり、親子関係の存否を前提問題として別個独立に主張・判断し得る。
問題の所在(論点)
身分関係(親子関係)の存否を前提とする財産上の請求に関する訴訟において、前提となる身分関係の存否を通常の民事訴訟手続で審理・判断することの可否、および人事訴訟の確定判決を経ずに前提問題として判断することの可否。
規範
身分関係の存否を前提として発生する財産関係の訴訟は、通常の民事訴訟事件として処理される。この場合、前提となる身分関係(親子関係等)の存否に関する審理・判断は、民事訴訟法の規定に従えば足り、人事訴訟法の規定に従うことを要しない。また、身分関係の不存在は、人事訴訟の判決を待たずとも、財産関係訴訟において前提問題として別個独立に主張・判断できる。
重要事実
上告人と被上告人Bとの間の抵当権設定契約の成否が争われた事案において、その前提としてDとEとの間に親子関係が存在するか否かが問題となった。原審は、この親子関係の存否について、人事訴訟手続ではなく通常の民事訴訟手続によって審理を行い、証拠に基づき親子関係の不存在を認定した上で、抵当権設定契約の事実を否定した。これに対し上告人が、親子関係の存否は人事訴訟手続によるべきである等として上告した。
あてはめ
本件訴訟は、抵当権設定契約の有無という財産関係を目的とするものであり、通常の民事訴訟事件にあたる。そのため、争点となったD・E間の親子関係の存否についても、通常の民事訴訟手続における証拠調べによって判断すれば足りる。また、親子関係の不存在は、その旨を宣言する人事訴訟の確定判決がなくとも、本件のような民事訴訟の枠組みの中で独立して主張・判断の対象とすることが可能である。したがって、原審が自由心証に基づき親子関係を否定した判断に違法はない。
結論
親子関係の存否を前提とする財産権上の訴訟は通常の民事訴訟として処理し、その手続内で前提問題として身分関係の存否を判断できる。
実務上の射程
財産的紛争の解決において身分関係が争点となる場合、別訴で人事訴訟を提起せずとも、当該民事訴訟の中で身分関係を認定できる(訴訟経済の観点)。ただし、ここでの判断に人事訴訟法上の対世的効力は生じない点に留意が必要である。
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不動産所有権を取得したが本登記手続を経ない仮登記権利者は、右不動産上の抵当権者に対し被担保債務が弁済されたことを理由に当該抵当権設定登記の抹消登記手続を請求し得ない。