臨時免許状を有する公立学校の教員は、その免許状の失効により地方公務員たる身分を失う。
教育職員臨時免許状の失効と地方公務員たる身分の喪失。
教育公務員特例法3条,教育職員免許法3条,教育職員免許法9条
判旨
公立学校の教員は教員であることにより地方公務員の身分を有するものであるから、教育職員としての免許を欠く等によりその身分を喪失したときは、当然に地方公務員としての身分も喪失する。
問題の所在(論点)
教育職員(教員)がその資格や身分を喪失した場合に、地方公務員としての身分も当然に失うか。また、退職勧奨に応じないことを理由とした転任処分が憲法14条や地方公務員法13条(平等原則)に違反し、裁量権の逸脱・濫用となるか。
規範
教育公務員特例法3条(当時の規定)が、公立学校の教員は地方公務員としての身分を有する旨を規定している趣旨に鑑みれば、教員の地方公務員たる身分は教育職員たる立場と不可分に結びついている。したがって、法的な資格要件の欠如等により教育職員としての身分を喪失した場合には、地方公務員法上の別段の根拠を要することなく、当然に地方公務員としての身分も喪失する。
重要事実
上告人A1は助教諭として勤務していたが、教育職員免許法3条所定の免許を有しない状態(または失効した状態)となり、教育職員としての職を行い得ないこととなった。これに対し、上告人は教育職員の地位を失っても地方公務員法に直接の根拠がない限り、地方公務員としての地位は維持されると主張して、身分喪失の効力を争った。また、別の教員である上告人A2については、共稼ぎの女教師であることを理由とした退職勧奨や報復的な転任処分の存否が争点となった。
あてはめ
教育職員の身分について、上告人は「教員であったがために地方公務員であった」のであり、教育職員の身分を離れて独立した地方公務員の身分を有していたわけではないと解される。したがって、免許の不保持等により教育職員としての身分が消滅すれば、その前提を欠くことになり、当然に公務員の地位も失われる。次に、転任処分については、原審の認定によれば性別を理由とする差別や報復目的といった事実は認められず、教育委員会の内申書の提出経緯についても、動機に不適切な点があったとしても直ちにその意思に基づかない違法なものとはいえない。
結論
教育職員としての身分を喪失した以上、当然に地方公務員としての身分も喪失する。また、本件転任処分等に性別による差別や報復目的等の違法性は認められない。
実務上の射程
教育公務員の身分が一般行政職としての身分と切り離せない関係にあることを示した。答案上は、教育職員免許の失効に伴う当然失職の理屈を説明する際に本判決の論理(身分の付随性)を援用できる。また、人事異議申立等における不当な動機の主張に対し、事実認定のハードルが高いことを示す実例としても参照し得る。
事件番号: 昭和43(行ツ)95 / 裁判年月日: 昭和48年9月14日 / 結論: 破棄差戻
一、地方公務員法二八条に基づく分限処分は、任命権者の純然たる自由裁量に委ねられているものではなく、分限制度の目的と関係のない目的や動機に基づいてされた場合、考慮すべき事項を考慮せず、考慮すべきでない事項を考慮して処分理由の有無が判断された場合、あるいは、その判断が合理性をもつものとして許容される限度を超えた場合には、裁…