国税滞納処分に基づく差押登記後になされた、当該差押目的物たる不動産を目的とする賃貸借契約による賃借権は、公売処分の結果その不動産を買い受けた者に対抗できない。
国税滞納処分に基づく差押登記後になされた当該差押目的物たる不動産を目的とする賃貸借契約による賃借権の対抗力。
国税徴収法68条
判旨
滞納処分に基づく差押登記後になされた不動産の賃借または転借は、その後の公売処分により当該不動産を買い受けた者に対抗することができない。
問題の所在(論点)
滞納処分による不動産の差押登記がなされた後に設定された賃借権や転借権をもって、公売処分の買受人に対抗することができるか。
規範
不動産に対する滞納処分に基づく差押登記がなされた後は、当該不動産について生じた賃借権等の利用権限をもって、差押えの効力およびその後の公売手続による買受人に対抗することはできない。
重要事実
上告人らは、本件家屋について賃借または転借していたと主張した。しかし、当該賃貸借等は、本件家屋に対する滞納処分に基づく差押登記がなされた後に行われたものであった。その後、本件家屋は公売処分に付され、被上告人がこれを買い受けたため、上告人らとの間で買受人への対抗力が争点となった。
あてはめ
本件における賃借または転借の事実は、いずれも本件滞納処分に基づく差押登記以後になされたものであることが適法に確定している。差押えには処分禁止的効力があり、登記後に取得した権利は差押債権者およびその承継人である買受人に対してはその優先を主張できない。したがって、上告人らの主張する利用権限は、公売の結果として権利を取得した被上告人に対し、対抗要件を備えているか否かにかかわらず対抗し得ないものと解される。
結論
差押登記後の賃借権等は買受人に対抗できず、上告人らの請求(または主張)は認められない。
実務上の射程
民事執行法上の差押えと同様、国税徴収法上の滞納処分による差押登記にも処分禁止的効力(相対的効力)が認められることを確認した判例である。答案上は、差押えと賃貸借の前後関係を確定した上で、差押えが先行する場合にはその後の権利設定を買受人に対抗できないとする法的帰結を導く際に用いる。
事件番号: 昭和37(オ)958 / 裁判年月日: 昭和38年3月14日 / 結論: 棄却
建物に対し根抵当権が設定かつ登記された後になされ賃貸期間を少くとも一〇年とする当該建物の賃貸借は、右建物の競落人に対抗できない。