第一審裁判所が尋問した証人につき控訴審で再尋問の申出があつた場合、民訴法第一八七条第三項後段を適用することを要しない。
民訴法第一八七条第三項後段は審級を異にした場合に適用あるか。
民訴法187条3項後段
判旨
売買契約における目的物の所有権移転時期について、特約がない限り、契約の成立と同時に所有権が売主から買主に移転する。
問題の所在(論点)
売買契約において、所有権移転時期に関する特約がない場合、いつの時点で目的物の所有権が移転するか。また、民事訴訟法上の証人再尋問の申出に関する規定(旧民訴法187条3項、現行249条2項参照)が、第一審で尋問した証人につき控訴審で再尋問を申し出た場合に適用されるか。
規範
不動産売買において、土地所有権の移転時期に関する特約(代金完済時とする等)が存在しない場合には、売買契約の成立と同時に目的物の所有権が買主に移転する。
重要事実
原告(被上告人・買主)と被告(上告人・売主)の間で本件土地の売買契約が締結された。被告は、原告に履行遅滞があることや、契約解除の意思表示をしたことを主張したが、裁判所はいずれも否定した。また、本件売買契約において土地所有権の移転時期に関する具体的な特約の存在は主張されていなかった。
事件番号: 昭和36(オ)807 / 裁判年月日: 昭和38年9月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】売買契約に支払期日の定めがあっても、それが特定の条件成就を見越した予測に基づくものであり、先履行の合意がない限り、契約の効力発生により代金支払債務と所有権移転登記債務は同時履行の関係に立つ。この場合、売主が移転登記に先立つ前提手続を完了させない限り、買主は履行遅滞に陥らず、売主による解除は認められ…
あてはめ
本件土地の売買契約においては、土地所有権の移転時期に関する特約がある旨の主張がなされていない。したがって、特約がない以上、契約の成立という法的事実によって直ちに所有権移転の効力が生じる。また、証人再尋問については、同一審級での裁判官交代時の規定であり、審級を異にする控訴審での再尋問申出には適用されない。
結論
売買契約の成立と同時に土地所有権は買主に移転したと解すべきである。また、控訴審における証人再尋問の申出却下は適法である。
実務上の射程
意思主義(民法176条)を端的に示した判例であり、実務上、所有権移転時期の合意がない場合は契約成立時が原則となる。司法試験では「代金完済時に移転する」といった特約がない場合の所有権帰属を確定させる際の根拠として用いる。
事件番号: 昭和35(オ)15 / 裁判年月日: 昭和38年6月7日 / 結論: 棄却
通謀虚偽の売買契約における買主が当該契約の目的物について第三者と売買予約を締結した場合において、その目的物の物件取得の法律関係につき、予約権利指が民法第九四条第二項にいう善意であるかどうかは、その売買予約成立の時ではなく、当該予約完結権の行使により売買契約が成立する時を基準として定めるべきである。
事件番号: 昭和35(オ)1 / 裁判年月日: 昭和35年12月13日 / 結論: 破棄差戻
【結論(判旨の要点)】双務契約において一度履行の提供があったとしても、その提供が継続されていない限り、相手方は民法533条に基づく同時履行の抗弁権を失わない。 第1 事案の概要:売主(被上告人)が買主(上告人)に対し、オート三輪車の売買代金の残額を請求した事案。原審は、売主がかつて本件オート三輪車を提供して買主を受領遅…
事件番号: 昭和42(オ)348 / 裁判年月日: 昭和42年12月15日 / 結論: 棄却
明治二三年当時における法制下においても、登記は公示方法に過ぎず、所有権移転の要件ではないと解すべきである。