通謀虚偽の売買契約における買主が当該契約の目的物について第三者と売買予約を締結した場合において、その目的物の物件取得の法律関係につき、予約権利指が民法第九四条第二項にいう善意であるかどうかは、その売買予約成立の時ではなく、当該予約完結権の行使により売買契約が成立する時を基準として定めるべきである。
民法第九四条第二項にいう善意の有無を定める基準となる時期。
民法94条,民法556条
判旨
通謀虚偽表示による売買契約の買主と売買予約を締結した第三者が、民法94条2項にいう「善意の第三者」に該当するか否かの判断基準時は、売買予約成立時ではなく、予約完結権の行使により売買契約が成立した時である。
問題の所在(論点)
通謀虚偽表示の目的物について売買予約を締結した者が、民法94条2項の「第三者」として保護されるための善意の判断基準時はいつか。
規範
民法94条2項の「第三者」が同条項の保護を受けるための要件である「善意」か否かの基準時は、当該第三者が虚偽表示の目的物について実質的な利害関係を取得した時点とすべきである。売買予約の事案においては、予約成立時ではなく、予約完結権の行使により売買契約が成立し、確定的な物権取得の法律関係が生じた時点を基準として定めるべきである。
重要事実
虚偽表示により不動産を購入した買主と、第三者との間で当該不動産に関する売買予約が締結された。その後、当該第三者が予約完結権を行使し、売買契約を成立させたが、予約成立時と予約完結権行使時との間で、第三者が虚偽表示の事実を知ったかどうかが争点となった。
あてはめ
民法94条2項が善意の第三者を保護する趣旨は、虚偽の外観を信頼して新たに独立の法律上の利害関係を有するに至った者を保護することにある。売買予約は、完結権の行使によって初めて売買としての効力を生じ、目的物の物権取得という確定的な法律関係を形成するものである。したがって、予約完結権行使により売買が成立する際、すでに虚偽表示であることを知っていた場合には、保護の対象となるべき正当な信頼があるとはいえない。ゆえに、基準時は予約完結権行使時となる。
結論
売買予約完結権の行使時を基準として善意であれば民法94条2項により保護されるが、完結権行使時に悪意であれば保護されない。
実務上の射程
売買予約後の完結権行使という二段階の過程を経る場合、確定的な権利取得時まで善意を維持する必要があることを示した。答案上は、時系列に沿って「新たな利害関係」がいつ確定的に発生したかを特定し、その時点での善意を検討する際に本判例を引用する。
事件番号: 昭和38(オ)1104 / 裁判年月日: 昭和39年4月17日 / 結論: 棄却
第一審裁判所が尋問した証人につき控訴審で再尋問の申出があつた場合、民訴法第一八七条第三項後段を適用することを要しない。
事件番号: 昭和35(オ)232 / 裁判年月日: 昭和37年12月25日 / 結論: 棄却
代金支払が契約の数ケ月後であるとの一事によつては、登記欠缺を主張しえない背信的悪意者とはいえない。
事件番号: 昭和35(オ)1 / 裁判年月日: 昭和35年12月13日 / 結論: 破棄差戻
【結論(判旨の要点)】双務契約において一度履行の提供があったとしても、その提供が継続されていない限り、相手方は民法533条に基づく同時履行の抗弁権を失わない。 第1 事案の概要:売主(被上告人)が買主(上告人)に対し、オート三輪車の売買代金の残額を請求した事案。原審は、売主がかつて本件オート三輪車を提供して買主を受領遅…
事件番号: 昭和36(オ)807 / 裁判年月日: 昭和38年9月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】売買契約に支払期日の定めがあっても、それが特定の条件成就を見越した予測に基づくものであり、先履行の合意がない限り、契約の効力発生により代金支払債務と所有権移転登記債務は同時履行の関係に立つ。この場合、売主が移転登記に先立つ前提手続を完了させない限り、買主は履行遅滞に陥らず、売主による解除は認められ…