高等裁判所の決定について違憲を理由とする場合以外に抗告の途がないことは、憲法に違反しない。(昭和二四年(ク)第一五号、同年七月二二日大法廷決定参照)
民訴法第四一九条ノ二は憲法に違背するか。
民訴法419条ノ2,裁判所法7条2号
判旨
最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、法律により特に許された場合に限られ、下級裁判所の決定に対し最高裁判所への抗告を許すか否かは、憲法81条の場合を除き、立法府の合理的な裁量に委ねられている。
問題の所在(論点)
下級裁判所の決定に対して最高裁判所への抗告を制限する規定が、憲法が定める審級制度や最高裁判所の裁判権に照らして合憲といえるか、という立法の裁量の限界が問題となる。
規範
最高裁判所が抗告に関して裁判権を持つのは、訴訟法において特に認められた場合に限られる。下級裁判所の決定に対して最高裁判所への抗告を許すか否かは審級制度の問題であり、憲法81条(違憲審査権)の場合を除き、すべて立法の合理的な裁量に委ねられている。したがって、特定の決定について憲法違反を理由とする場合以外に抗告を認めないとしても、憲法に違反するものではない。
重要事実
抗告人らは、民事訴訟法(旧法)419条の2および裁判所法7条2号が、最高裁判所への抗告を制限している点について憲法違反を主張し、高等裁判所の決定に対して抗告を申し立てた。なお、具体的事件の背景事実は判決文からは不明である。
事件番号: 昭和31(ク)74 / 裁判年月日: 昭和31年4月12日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、民事訴訟法(当時)419条の2に規定される特別抗告の要件を満たす場合に限られる。形式的に違憲を主張しても、その実質が単なる手続規定の違背を主張するものである場合には、適法な特別抗告として認められない。 第1 事案の概要:抗告人は、原審の決定に対…
あてはめ
憲法は最高裁判所を終審裁判所としているが、いかなる種類の事件をどの範囲で上訴可能とするかは、司法の適正・迅速な運用の観点から立法政策に委ねられている。本件において、高等裁判所の決定に対し違憲を理由とする場合以外は抗告できないとする制限は、審級制度の設計として合理的な範囲内にある。抗告人の主張のうち、憲法違反をいう部分は判例の趣旨に照らして理由がなく、その他の点は単なる法令違背の主張に過ぎないため、適法な抗告理由にあたらない。
結論
本件抗告を棄却する。上訴の制限に関する現行規定は憲法に違反しない。
実務上の射程
裁判所法や民事訴訟法における上訴制限規定の合憲性を基礎づける射程を持つ。答案上は、審級制度の設計が立法府の広範な裁量に属することを示す際の根拠判例として活用できる。
事件番号: 昭和24(ク)41 / 裁判年月日: 昭和24年7月15日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、訴訟法上特に最高裁判所への申し立てが許容されている場合を除き、提起することができない。 第1 事案の概要:抗告人が最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案。本件において、抗告人は当時の民事訴訟法419条の2(民訴応急措置法7条)などの特別の規定に基づかずに、最高裁判所への抗…
事件番号: 昭和25(ク)110 / 裁判年月日: 昭和25年11月30日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、訴訟法において特に最高裁判所への抗告が許容されている場合に限定される。 第1 事案の概要:抗告人が最高裁判所に対して抗告を申し立てたが、当該抗告は民事訴訟法(当時)419条の2に定める「特に最高裁判所への抗告が許容される場合」に該当するものでは…
事件番号: 昭和25(ク)139 / 裁判年月日: 昭和26年4月16日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権をもつのは、訴訟法において特に申立てが許された場合に限られ、民事事件においては憲法違反の判断の不当を理由とする特別抗告のみがこれに該当する。 第1 事案の概要:抗告人が、最高裁判所に対し抗告を申し立てた事案である。本件において抗告人は、旧民事訴訟法413条の規定が最高…
事件番号: 昭和24(ク)85 / 裁判年月日: 昭和25年3月14日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法において特に認められた場合に限定され、民事事件においては憲法違反の判断を不当とする特別抗告のみが許容される。 第1 事案の概要:抗告人が、原決定に対して最高裁判所へ抗告を申し立てた事案。抗告人が主張した抗告理由は、憲法違反に関する判断を不当とするも…