消極。
口頭弁論を経ないでされた家事審判は憲法第三二条に違反しないか。
判旨
家事審判手続は非訟事件であり、憲法32条が保障する裁判を受ける権利は、公開の法廷における対審及び判決を必ずしも必要としない。また、婚姻費用の分担額の決定は家庭裁判所の裁量に委ねられる。
問題の所在(論点)
1.家事審判において口頭弁論を経ないで裁判をすることが憲法32条に違反するか。2.婚姻費用の分担決定における裁判所の裁量権の性質。
規範
家事審判手続は非訟事件であり、その性質上、公開の法廷における対審及び判決によらなければならないものではない。また、民法760条に基づく婚姻費用の分担は、資産、収入その他一切の事情を考慮して裁判所の裁量によって決定されるべき事項である。
重要事実
抗告人(夫)に対し、相手方(妻)への婚姻費用分担義務を認めた原審の審判に対し、抗告人が即時抗告を申し立てた。抗告人は、原審が口頭弁論を経ずに審判を行ったことが憲法32条に違反し、かつ分担義務を認めたことが憲法12条、14条に違反すると主張した。
あてはめ
家事審判は非訟事件に該当するため、通常の訴訟事件とは異なり公開の対審を必須としない。したがって、原審が口頭弁論を経ずに審理・裁判を行ったことに憲法違反はない。また、婚姻費用の分担は、夫婦の個別事情を総合的に考慮して決めるべき家庭裁判所の合理的な裁量に属する事項である。
事件番号: 昭和37(ク)243 / 裁判年月日: 昭和40年6月30日 / 結論: 棄却
一 家事審判法第九条第一項乙類第三号の婚姻費用の分担に関する処分の審判は、憲法第三二条、第八二条に違反しない。 二 婚姻費用分担義務を前提とする審判がなされた場合でも、右分担義務の存否については、別に訴を提起することを妨げない。 三 家庭裁判所は、審判時から過去に遡つて、婚姻費用の分担に関する処分をすることができる。
結論
本件抗告を棄却する。家事審判手続において口頭弁論を経ないことは違憲ではなく、婚姻費用分担の判断は適法な裁量の範囲内である。
実務上の射程
婚姻費用分担請求(民法760条)が非訟事件であり、職権探知主義や裁量的判断が妥当する領域であることを論証する際に活用できる。また、憲法上の裁判を受ける権利と非訟手続の関係を示す基本的判例としての意義を持つ。
事件番号: 平成19(ク)1128 / 裁判年月日: 平成20年5月8日 / 結論: 棄却
婚姻費用の分担に関する処分の審判に対する抗告審が,抗告の相手方に対し抗告状及び抗告理由書の副本を送達せず,反論の機会を与えることなく不利益な判断をしたことは,憲法32条所定の「裁判を受ける権利」を侵害したものとはいえない。 (補足意見及び反対意見がある。)
事件番号: 昭和37(ク)360 / 裁判年月日: 昭和38年2月22日 / 結論: 棄却
違反しない。
事件番号: 昭和28(ク)230 / 裁判年月日: 昭和28年11月17日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が下した決定に対しては、更に抗告を申し立てることは許されない。 第1 事案の概要:抗告人は、最高裁判所がすでになした決定(詳細な原審事案の内容は判決文からは不明)に不服があるとして、最高裁判所に対して更に抗告を申し立てた。 第2 問題の所在(論点):最高裁判所のなした決定に対し、更なる抗…
事件番号: 昭和26(ク)109 / 裁判年月日: 昭和35年7月6日 / 結論: 破棄差戻
戦時民事特別法第一九条第二項、金銭債務臨時調停法第七条に従い、純然たる訴訟事件についてなされた調停に代わる裁判は、右第七条に違反するばかりでなく、同時に憲法第八二条、第三二条に照らし違憲たるを免れない。