他人の所有地の立木のみについても、取得時効の要件を具備するかぎり、その所有権を取得し得るものと解するのを相当とする(昭和三八年一二月一三日第二小法廷判決、民集一七巻一二号一六九六頁参照)。
他人所有地の立木についての取得時効の成否。
民法162条
判旨
土地の共有者から管理行為を一任されていた当時の部落区長が締結した使用貸借契約は有効であり、その土地に生立する自然生の立木についても、平穏公然に管理・育成を継続することで時効取得が認められる。
問題の所在(論点)
共有者から管理権限を一任された区長による使用契約締結の有効性、および土地に生立する自然生の立木について時効取得が認められるか。
規範
共有物の「管理に関する事項」については、共有者の決定に基づき特定の者に権限を委任することが可能であり、受任者がその権限の範囲内で第三者と締結した契約(使用貸借等)は共有者全員に対して効力を生ずる。また、立木(自然生を含む)についても、所有の意思をもって平穏かつ公然に占有(管理・育成)を継続した場合には、取得時効の要件を満たし得る。
重要事実
明治43、44年頃、共有地(原野)の共有者らは、当時の部落の行政区長Dに対し、当該土地を他人に使用させる等の管理行為を一任していた。Dは被上告人の先代Eとの間で、防風林設置の目的で期間・借地料の定めなく本件土地を貸与する契約を締結した。その後、被上告人らは当該土地に生立する自然生の松立木を、自ら植林した松と同様に自己の所有として平穏公然に管理・育成し、占有を継続してきた。
あてはめ
まず、共有者から管理行為を一任されていた区長Dが締結した本件使用契約は、正当な権限に基づくものであり、有効に成立している。次に、立木の時効取得について、被上告人らは自然生の松であっても、自己の植林にかかる立木と同様に、所有の意思をもって「平穏公然に管理(占有)育成」してきた。これは民法162条の取得時効における占有に該当すると評価される。したがって、法定期間の経過により当該立木の所有権を時効取得したものと解される。
結論
区長が締結した本件土地の使用契約は有効であり、被上告人による本件立木(自然生を含む)の時効取得を認めた原審の判断は正当である。
実務上の射程
共有物の管理(民法252条)に関する権限の委任と、その範囲内での契約の有効性を示す。特に、立木の時効取得において「管理・育成」が占有の態様として重要視される点、及び自然生であっても時効取得の対象となり得る点に射程が及ぶ。
事件番号: 昭和35(オ)86 / 裁判年月日: 昭和37年3月2日 / 結論: 棄却
山林の入口、山林内路傍、山林頂上の三ケ所の立木に、幅約二〇糎、長さ約四五糎、厚さ約二糎の板に、「a山林六町七反八畝歩は名義人において買受けたから伐採を禁ずる」旨記載した立札を釘で打付けたこと、右山林は俗にbと呼ばれていることの事実があるときは、右立札による公示は、右山林内の立木所有権の明認方法として有効である。
事件番号: 昭和32(テ)27 / 裁判年月日: 昭和33年5月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】準禁治産者が上告の申立てを行うには保佐人の同意を要し、裁判所の命じた期間内にその欠缺を補正しない場合は、上告は不適法として却下される。 第1 事案の概要:上告人は旧民法下の準禁治産者(現在の被保佐人に相当)であった。上告人は本件訴訟において上告の申立てを行ったが、これについて保佐人の同意を得ていな…