株式会社の清算結了の登記があつても、会社を被告とする給付訴訟が係属するときは、清算結了とはいえないから、会社は消滅しない。
清算結了登記と会社人格の消滅。
商法54条,商法427条1項,商法430条1項,商法134条
判旨
株式会社の清算結了登記が了した後であっても、残存財産がある場合には清算は結了せず、当該会社はなお実質的に存続し、当事者能力を失わない。
問題の所在(論点)
清算結了登記を了した株式会社につき、残存財産や未解決の法律関係がある場合に、訴訟上の当事者能力(民事訴訟法28条等)を認めることができるか。
規範
株式会社の清算事務が未了であり、実質的に会社の財産が残存している場合には、清算結了の登記がなされたとしても、会社は依然として法人格を保持し、訴訟上の当事者能力を失わない。
重要事実
上告人の土地賃貸借に関する訴訟において、被上告人である株式会社は、株主総会決議に基づき解散し、清算結了の登記を完了していた。上告人は、清算結了登記により被上告人の当事者能力は消滅したと主張し、原判決の違法を訴えた。しかし、当該会社については本件訴訟が依然として係属中であり、清算すべき権利義務関係が残存している状態であった。
事件番号: 昭和27(オ)604 / 裁判年月日: 昭和28年10月9日 / 結論: 棄却
商人の借地権の放棄に関する契約は、たとえ右借地権がその営業所の敷地に関する場合であつても、商法第五〇九条にいわゆる「其営業ノ部類ニ属スル契約」とはいえない。
あてはめ
株式会社の消滅は清算事務の終了という実体によって決まるべきものである。本件において、被上告人の清算結了登記が完了している事実は認められるものの、現に本件訴訟が係属していること自体が、清算すべき法律関係(財産的状況)が残存していることを端的に示している。したがって、清算は未だ実質的に結了していないと解されるため、被上告人は実質的に消滅しておらず、当事者能力を保持しているといえる。
結論
被上告会社の当事者能力は消滅しておらず、存続しているものと認めるのが相当である。
実務上の射程
会社消滅後の訴訟遂行の可否を論じる際の基本的判例である。会社法上の清算結了の意義と、民訴法上の当事者能力の有無を連結させる文脈で使用する。登記という形式よりも清算事務の完了という実体を重視する判断枠組みとして定着している。
事件番号: 昭和38(オ)1407 / 裁判年月日: 昭和39年11月24日 / 結論: 棄却
請求権保全の仮登記でも、これに基づく本登記がなされたときは、仮登記以後におけるこれと相容れない中間処分の効力を否定する効果を有するものと解すべきであり、所有権移転請求権保全の仮登記以後における所論賃借権の設定も右にいう仮登記と相容れない中間処分たるを失わない(昭和三三年(オ)第八七一号同三六年六月二九日第一小法廷判決、…
事件番号: 昭和29(オ)277 / 裁判年月日: 昭和31年7月17日 / 結論: 棄却
一 不動産登記法第四四条にいわゆる「登記済証ガ滅失シタルトキ」とは、登記済証が物質的に滅失したかまたは紛失のため一時所在の判明しないような場合をいうのであつて、登記済証が第三者に交付せられ、現にその手裡に存してたやすく取り戻すことができないと認められるような場合をも包含するものではない。 二 保証書による登記申請が本来…
事件番号: 昭和34(オ)1162 / 裁判年月日: 昭和37年3月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不動産の買受人が、当該不動産の賃貸借契約における賃貸人の地位を承継するためには、譲受人と譲渡人との間で賃貸人たる地位の譲受契約を締結することが必要であり、その代理権の授与も認められる必要がある。 第1 事案の概要:上告人(買受人)は、補助参加人(譲渡人)から本件土地を買い受けるに際し、訴外Dを代理…
事件番号: 昭和33(オ)1017 / 裁判年月日: 昭和36年4月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】第一審における訴訟代理人の権限は、特段の事情がない限り、同一の事件について上訴審における代理権をも含むものと解される。 第1 事案の概要:上告人は、原審(控訴審)において被上告人を代理した弁護士に代理権がなかった旨を主張して上告した。しかし、記録上、当該弁護士に対しては第一審段階で訴訟代理委任状が…