旧河川法(明治二九年法律第一七一号)第一八条の許可に基づく占用権者が長期にわたり占用許可の更新手続をすることなく放置し、占用許可に基づく使用収益権をすでに放棄していると認められるなど原判決の事実関係では、右占用権者は、同条に基づく占用権を有しないと解すべきである。
旧河川法(明治二九年法律第一七一号)第一八条に基づく河川敷地に対する占用権の喪失が認められた事例。
旧河川法(明治29年法律171号)18条
判旨
河川法に基づく占用許可の更新手続を長期間放置した者は、占用許可に基づく使用収益権を放棄したものとみなされ、占用権を喪失する。また、占用権は所有権に準ずる永久の排他的私権とは認められない。
問題の所在(論点)
河川法に基づく土地の占用権が「所有権に準ずべき永久の排他的私権」といえるか、また、長期間更新手続を放置した場合に占用権が存続するか。
規範
河川等の公物に係る占用権は、行政庁の許可によって設定される公法上の権利であり、所有権に準ずる永久の排他的私権ではない。また、当該権利は適切な更新手続を前提とするものであり、手続を怠り放置した場合には、権利を放棄したものと解するのが相当である。
重要事実
上告人は、旧河川法の下で本件土地の占用許可を受けていたが、長期間にわたり占用許可の更新手続を行うことなく放置していた。その後、上告人は本件土地を占用する権限を有することの確認を求めたが、原審は昭和30年以前から占用権を喪失していると判断した。これに対し、上告人は占用権が所有権に準ずる永久の排他的私権であることや、更新を受けうる排他的期待権の存在を主張して上告した。
あてはめ
河川法3条の趣旨に照らせば、占用権を所有権と同等の永久的な私権と解することはできない。本件において上告人は、長期間にわたり占用許可の更新手続をすることなく放置しており、この客観的事実から、占用許可に基づく使用収益権をすでに放棄したものと評価できる。したがって、少なくとも昭和30年以前の時点で本件土地を占用する正当な権限は失われているといえる。
結論
上告人は本件土地を占用する権限を有しない。占用権は永久の排他的私権ではなく、更新手続の放置により喪失する。
実務上の射程
公物占用の法的性質が公法上の権利であることを確認した事例。更新手続の懈怠が権利放棄とみなされる点、および占用権の私権的側面を否定する文脈で、公物管理の優越性を示す際に引用される。答案上は、公法上の権利の消滅事由(放棄の認定)の検討に有用である。
事件番号: 昭和45(オ)315 / 裁判年月日: 昭和45年6月18日 / 結論: 棄却
占有における所有の意思の有無は、占有取得の原因たる事実によつて外形的客観的に定められるべきものであるから、賃貸借が法律上効力を生じない場合にあつても、賃貸借により取得した占有は他主占有というべきである。
事件番号: 昭和45(オ)357 / 裁判年月日: 昭和45年10月29日 / 結論: 棄却
占有における所有の意思の有無は、占有取得の原因たる事実によつて客観的に定められるべきものであるから、所有権譲受を内容とする交換契約に基づき開始した占有は、所有の意思をもつてする占有である。