一 不当利得における法律上の原因があることの主張は、抗弁事実にあたる。 二 間接事実は、当事者の主張がなくても証拠により認定しうる。
一 不当利得における法律上の原因があることの主張は抗弁事実にあたるか。 二 間接事実と弁論主義。
民法703条,民訴法第3章第1節,民訴法186条
判旨
当事者の主張がなくても、証拠により間接事実を認定することは弁論主義に反しない。また、被告の主張が請求原因と両立しない事実の摘示(積極否認)に留まる場合、それは抗弁には当たらない。
問題の所在(論点)
1. 間接事実の認定に当事者の主張を必要とするか(弁論主義の射程)。2. 相手方の主張と両立しない事実の主張(積極否認)が抗弁にあたるか。
規範
弁論主義の適用範囲について、主要事実は当事者の主張を必要とするが、間接事実については当事者の主張を待たずとも証拠に基づき認定することができる。また、ある事実の主張が相手方の主張する事実と両立しない内容を含む場合であっても、それが単なる否定の根拠(積極否認)に留まる限り、抗弁としての主張責任は生じない。
重要事実
訴外Dが協同組合の代表者として被上告人に弁済を行ったという事実関係において、上告人は弁済契約の存在等の事実について当事者の主張がないにもかかわらず裁判所が認定した点や、被上告人の主張が抗弁にあたると主張して、原審の判断に弁論主義違反や主張責任の誤解があると不服を申し立てた。
あてはめ
1. 弁済契約存在の事実は、主要事実を推認させるための間接事実にすぎない。したがって、当事者の明示的な主張がなくても、裁判所が証拠に基づいてこれを認定することは適法である。2. 訴外Dが組合の代表者として債務を弁済したという被上告人の主張は、上告人の請求原因を否定するための積極的な事実摘示(積極否認)であり、自己の請求を基礎付ける抗弁事実には該当しない。ゆえに、抗弁であることを前提とする主張は失当である。
結論
間接事実の認定に当事者の主張は不要であり、積極否認を抗弁と解する必要はない。上告棄却。
実務上の射程
弁論主義の第一命題(主張責任)の対象が主要事実に限られることを示す典型的な判例である。答案上は、裁判所が証拠からある事実を拾い上げた際、それが主要事実か間接事実かを峻別し、間接事実であれば弁論主義違反にならない旨を論じる際に活用する。
事件番号: 昭和24(オ)76 / 裁判年月日: 昭和25年6月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が原審の証拠取捨や事実認定の当否を争うものである場合、それは原審の職権に属する事項を論難するものであり、適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:上告人は、原判決における証拠の取捨、判断および事実の認定に不服があるとして上告を申し立てたが、具体的な憲法違反や判例違反等の適法な上告事…