判旨
再審事由としての刑事上の罰すべき行為(旧民訴420条1項4号・6号)について、有罪判決の確定等の要件を満たさない場合や、判決に影響を及ぼすべき重要な事項の遺脱(同9号)に基づく再審の訴えが出訴期間を経過した後に提起された場合は、いずれも不適法として却下される。
問題の所在(論点)
刑事上の罰すべき行為等を再審事由とする場合の要件充足性、および判断の遺脱を理由とする再審の訴えにおける出訴期間の遵守の有無が問題となった。
規範
再審事由のうち、刑事上の罰すべき行為等に係るものについては、有罪の判決もしくは過料の裁判が確定したとき、または証拠欠缺以外の理由によりこれらを得ることができないときに限り、再審の訴えを提起できる。また、判決に影響を及ぼすべき重要な事項について判断の遺脱があることを理由とする再審の訴えは、判決の確定後、再審の理由を知った日から30日の不変期間内(出訴期間内)に提起しなければならない。
重要事実
再審原告は、旧民訴法420条1項4号、6号、9号(現行338条1項4号、6号、9号に相当)を理由として再審の訴えを提起した。4号および6号については、有罪判決等の確定またはその不能に関する主張がなされていなかった。一方、9号の判断遺脱については、再審原告は昭和33年4月26日に原判決正本の送達を受けていたが、本件再審の訴えを提起したのは昭和36年2月11日であった。
あてはめ
まず、4号および6号の主張については、法が定める「有罪の判決等が確定したとき」等の要件に該当する旨の主張がない以上、適法な再審事由の主張とはいえない。次に、9号の判断遺脱については、再審原告は昭和33年に判決正本の送達を受けた時点で判断の遺脱を覚知し得たといえる。それにもかかわらず、約3年が経過した昭和36年に提起された本件再審の訴えは、出訴期間を経過していることが明白である。
結論
本件再審の訴えは、再審事由の主張を欠くか、または出訴期間を徒過した不適法なものであるため、却下される。
事件番号: 昭和35(ヤ)26 / 裁判年月日: 昭和36年6月8日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】判断の遺脱を理由とする再審の訴えにおいて、再審事由を「知った」時とは、特段の事情のない限り、判決正本の送達を受けた時を指す。 第1 事案の概要:再審原告は、原判決に判断の遺脱があるとして再審の訴えを提起した。再審原告が原判決正本の送達を受けたのは昭和35年9月1日であったが、上告状と題する本件再審…
実務上の射程
再審事由の厳格な解釈および出訴期間の起算点に関する実務上の取扱いを確認するものである。特に、刑事上の罰すべき行為を理由とする場合は補充性要件(有罪判決の確定等)が必須であること、判断遺脱については判決正本の受領時が「知った日」として認定され得る点に留意が必要である。
事件番号: 昭和32(ヤ)5 / 裁判年月日: 昭和32年4月4日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】確定した決定に対する再審の申立ては、民事訴訟法(旧法)所定の再審事由を主張するものでない限り、適法な申立てとは認められず却下される。 第1 事案の概要:申立人は、仮処分申請却下決定に対する抗告却下決定(東京高裁昭和31年4月4日決定)及びこれに対する抗告却下決定(最高裁昭和31年6月29日決定)に…
事件番号: 昭和30(ヤ)5 / 裁判年月日: 昭和30年9月21日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所の決定に対する再審の申立てにおいて、判断遺脱等の再審事由が認められない場合には、当該申立ては理由がないものとして却下される。 第1 事案の概要:申立人らは、裁判官忌避申立てを却下した決定に対する抗告棄却決定に対し、さらに抗告(特別抗告等)をしたが却下された。この最高裁判所による抗告却下決…
事件番号: 昭和32(ヤ)17 / 裁判年月日: 昭和32年10月30日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】再審の訴えにおいて、判決に影響を及ぼすべき重要な事項の判断遺脱を理由とする場合であっても、原判決が当該点について必要な判断を示しているときは、適法な再審事由に当たらない。 第1 事案の概要:再審原告は、最高裁判所が下した確定判決に対し、上告理由として主張した諸点について判断を遺脱した違法があるとし…