「控訴理由は追て提出する」と書いただけの控訴状を提出したまま、五回に及ぶ適式の呼出を受けながら、いずれも弁論期日に出頭しなかつた控訴人は、被控訴人提出の準備書面の記載内容を明らかに争わず自白したものとみなされる。
控訴人が被控訴人の主張を明らかに争わないで自白したものとみなされた事例
民訴法140条1項,民訴法140条3項
判旨
控訴状に具体的な控訴理由を記載せず、かつ原審の弁論期日に一度も出頭しなかった控訴人については、被控訴人が提出した準備書面の記載内容を争わず自白したものとみなすことができる。
問題の所在(論点)
控訴審において、控訴人が具体的な理由を記載した書面を提出せず、かつ期日に出頭しない場合、被控訴人の主張事実について民事訴訟法159条の擬制自白が成立するか。
規範
当事者が適法な呼出しを受けたにもかかわらず弁論期日に出頭せず、答弁書その他の準備書面も提出しない場合には、相手方の主張した事実を争わないものとみなされ、擬制自白(民事訴訟法159条3項・1項)が成立する。
重要事実
上告人(控訴人)の代理人は、控訴状に「控訴理由は追て提出する」と記載したのみで、具体的な不服申立ての理由を明らかにしていなかった。その後、原審において5回にわたる弁論期日の呼出しを適法に受けたが、一度も出頭しなかった。一方で、被控訴人は準備書面を提出していた。
あてはめ
本件において、上告人らは控訴状で理由を留保したまま、5回もの弁論期日に一度も出頭していない。これは、被控訴人が提示した主張に対して何ら反論を試みていない状態であるといえる。したがって、被控訴人の準備書面に記載された事実は、上告人らにおいて「明らかに争わない」ものと評価するのが相当である。
結論
被控訴人提出の準備書面記載内容を自白したものとみなした原判決の判断は正当であり、上告は棄却される。
実務上の射程
控訴審においても、不出頭かつ準備書面不提出の場合には擬制自白が成立することを確認した事例である。特に、理由を後日提出するとしながら放置し、期日を欠席し続ける不誠実な訴訟追行に対する制裁的側面を有する。答案上は、第1審の規定が控訴審に準用される文脈(民訴法297条)における事実認定のあり方として言及し得る。
事件番号: 昭和37(オ)493 / 裁判年月日: 昭和39年4月10日 / 結論: 棄却
一 第一回口頭弁論期日において証人尋問が採用されたが、当事者が証拠申請書、証人尋問事項等を記載した書面の提出もせず、約三カ月後の第二回口頭弁論期日に右当事者が何ら理由を届け出ることなく出頭しなかつた場合には、裁判所は右証人を取調べることなく弁論を終結しても、審理不尽の違法があるとはいえない。 二 「その余の理由は控訴理…