手形の取立委任をしたからといつて、当然に信託法第一一条に違反するとはいえない。
手形の取立委任と信託法第一一条
信託法11条,手形法18条
判旨
取立委任を目的として手形が信託的に譲渡された場合であっても、直ちに「訴訟行為をさせることを主たる目的として」なされたものとはいえず、信託法(現行10条)に違反しない。
問題の所在(論点)
手形の取立委任を目的とした信託的譲渡が、信託法10条(旧11条)で禁止される「訴訟行為をさせることを主たる目的とする信託」に該当し、無効となるか。
規範
信託法(旧11条、現10条)が禁ずる訴訟信託に該当するか否かは、信託の目的が「訴訟行為をさせることが主たる目的」であるかによって判断される。単なる取立委任の目的での譲渡であれば、当然には同条違反とはならない。
重要事実
被上告人の夫Dが、税金対策として妻である被上告人名義で手形金の取立を行わせるため、白地裏書で譲り受けた約束手形の被裏書人欄に被上告人の名を補充し、これを被上告人に交付した。これにより、取立委任の目的で手形が信託的に譲渡された。
あてはめ
本件における手形の譲渡は、税金対策および取立の便宜を図ることを目的として行われた取立委任の性質を持つものである。このような取立委任を目的とする信託的譲渡は、それ自体が当然に「訴訟行為をさせること」を主眼とするものとは評価できない。他に訴訟行為を主たる目的とする事実の立証もないため、同条の禁止に触れるものではないと解される。
結論
本件手形譲渡は訴訟信託に該当せず、有効である。したがって、被上告人による手形権利の行使は適法である。
実務上の射程
手形法上の取立委任裏書が制限される場面や、取立目的の譲渡裏書の効力が争われる事案において、訴訟信託の禁止規定を限定的に解釈する根拠として活用できる。
事件番号: 昭和32(オ)334 / 裁判年月日: 昭和36年2月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】手形割引の法的性質について、実態に即して手形貸付(消費貸借)であると解する原審の判断を適法として維持した。 第1 事案の概要:上告人は、本件約束手形の割引が手形の売買にあたると主張して争ったが、被上告人は当該割引が手形貸付の性質を有するものであると主張した。第一審および原審は、証拠に基づき、本件手…