出資金なりや、キーマネーなりや争ある重要な争点について判断を遺脱した判決に、理由不備ありとされた事例。
理由不備の違法があるとされた事例。
民訴法395条1項6号
判旨
組合契約またはこれに類する契約において、出資をした当事者が脱退した場合には、出資金返還に関する特約がなくとも、共同財産の状況に応じた持分の払戻し等を請求できる。また、金銭の交付が出資か否かは契約関係の成否を左右する核心的事項であり、裁判所は理由を付して判断を示すべきである。
問題の所在(論点)
組合契約類似の契約における脱退に伴う出資持分払戻請求の可否、および支出金の性質(出資か権利金か)が契約関係の認定に及ぼす影響。
規範
出資を伴う組合契約(民法667条1項)又はこれに類する契約において、当事者の一人が脱退したときは、出資の返還に関し別段の特約がない場合であっても、共同財産の状況に応じ、持分の払戻し(同法681条)又は残余財産の分配の形において金銭の支払がなされるべきである。また、支出金が「出資」か否かは、組合契約等の成否を判定する核心的争点であり、判決にはその性質について理由を付した明確な判断を要する。
重要事実
上告人は、被上告人らとの共同法律事務所の開設に際し、合計88万5000円を支出したが、後に脱退した。上告人は、脱退時に出資金全額を返還する特約があったと主張し、仮に特約がないとしても脱退時の財産状況に従い計算された額の支払を求めた。これに対し被上告人は、右金員は出資ではなく「キイ・マネー(権利金)」であり、返還義務はないと反論した。原審は、返還特約が認められないことのみを理由に上告人の請求を棄却した。
事件番号: 昭和27(オ)726 / 裁判年月日: 昭和29年9月10日 / 結論: 棄却
将来不成立の場合は返還を受くべき約旨の下に将来成立すべき賃借権の対価として金員を交付した場合において、その賃借権が不成立に終つたときは、その金員の交付をもつて権利金の交付と目すべきでなくこれをもつて直ちに不法原因給付ということはできない。
あてはめ
上告人の支出が出資であるならば、それは組合契約ないし類する契約の存在を推認させる有力な資料となる。原審は金員の交付事実を認めつつ、その性質が「出資」か「権利金」かについて明確な判断を示さず、単に「施設を利用し報酬分配を受ける地位にすぎない」と認定した。しかし、特約の存否にかかわらず、組合的関係が認められれば脱退に伴う持分払戻しが認められる余地がある。したがって、支出金の性質という核心的争点について判断を遺脱し、特約の不在のみをもって請求を排斥した原審の判断には、理由不備の違法がある。
結論
特約がない場合でも、組合員は脱退時に共同財産の状況に応じた持分の払戻しを請求できる。支出金の性質を判断せずに請求を退けた原判決には理由不備があるため、破棄・差し戻しを免れない。
実務上の射程
任意組合の脱退に伴う計算(民法681条)を論じる際の前提として活用できる。特約がないことを理由に直ちに返還請求を否定するのではなく、組合的性質の有無を確認し、法定の持分払戻権の成否を検討すべきとする実務指針となる。
事件番号: 平成7(オ)1747 / 裁判年月日: 平成11年2月23日 / 結論: その他
やむを得ない事由があっても任意の脱退を許さない旨の組合契約における約定は、無効である。
事件番号: 昭和37(オ)447 / 裁判年月日: 昭和40年2月19日 / 結論: 破棄差戻
証言のみにより、成立に争のない書証(借金の内払を記載した振替伝票)を無視した事実認定は、理由不備の違法がある。